2009 Fiscal Year Annual Research Report
自殺遺伝子導入幹細胞による悪性グリオーマの治療研究
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20791005
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
天野 慎士 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部, リサーチアシスタント (70464138)
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Keywords | 脳腫瘍 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
悪性神経膠腫の治療として、骨髄幹細胞を用いた遺伝子治療の臨床応用に向けての基礎実験を行うことが本研究の目的である。 前年度は主にin vitroでの研究を行ったが、今年度はin vivoでの研究が主であった。 MSCの移動能の調査では、SDラットC6脳腫瘍モデルを作製し、3日目にGFP-MSCtkを同側脳内に注入した後、経時的に脳を取り出し、蛍光顕微鏡にて観察しMSCtkの腫瘍への集積を観察した。翌日より脳腫瘍へのMSCtk集積が始まり、MSCtk注入2日後までは比較的急峻な増加曲線が得られ、後7日目までは緩やかな増加を見た。MSCtkの経静脈投与では、非常に少ない集積しか得られなかった。 ラットでのMSCtkを用いた治療効果の検討では、SDラットC6脳腫瘍モデルを作製し、3日目に同側脳内にMSCtkを注入、翌日よりGCVの腹腔内投与を7日間行った。対象ラットの一部は20日目に脳を取り出し、腫瘍の大きさを検討、一部では生存曲線の調査を行った。治療群では、明らかな腫瘍の縮小と、生存曲線の延長が確認された。一部には治癒と思われる例も認められた。 今回の実験にて、MSCtk/GCVを用いた悪性脳腫瘍に対する治療は補助療法として十分効果が期待できた。また、今後の臨床応用へのプロトコール作成に重要な基礎実験を行うことができた。 治療困難な悪性神経膠腫の治療の選択肢となり得る研究が進んでいることは、悪性脳腫瘍の治療に難渋している臨床の現場において、希望の光となるものである。臨床実験へと進めば、多大なインパクトを与えるものである。
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Research Products
(5 results)