2009 Fiscal Year Annual Research Report
廃用症候群に対する骨髄幹細胞移植とリハビリを用いたダブル治療
Project/Area Number |
20791011
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
安原 隆雄 Okayama University, 病院, 助教 (50457214)
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Keywords | 脳血管障害学 / 脳卒中 / 細胞療法 / 神経新生 / 寝たきり / 頭部外傷 |
Research Abstract |
後肢懸垂による廃用症候群モデルを作成し、骨髄幹細胞移植+リハビリのダブル治療群、骨髄幹細胞移植のみ群、リハビリ治療のみ群、そして、対照群の計4群において、行動学的評価を行ったところ、自発運動に関しては治療群3群とも対照群と比較して有意に自発運動の低下が抑制され、有意に骨髄幹細胞移植+リハビリのダブル治療群において治療効果が高かった。一方、下肢筋委縮については治療群3群で有意に抑制されていたが、骨髄幹細胞移植の有無に関わらず、リハビリ治療を行った2群において有意に骨髄幹細胞移植のみ群よりも高い治療効果が認められた。組織学的に移植細胞の生存や分化を評価するために、蛍光ナノ粒子であるQ-Dotを骨髄幹細胞に取り込ませてその生存率をまずin vitroで評価したところ、骨髄幹細胞の80%以上が1週間、70%以上が2週間標識された。in vivoにおいてもQ-Dotラベルされた骨髄幹細胞を移植して組織学的に評価したところ、リハビリ治療により移植細胞の生存数が有意に増加しており、脳全体に移植細胞が広い範囲で生着していることが確認された。さらに、移植2週間後のDoublecortin染色では、リハビリにより移植細胞の神経細胞への分化が有意に増加していることも明らかにされた。リハビリを行った治療では、大脳皮質や線条体における神経栄養因子の分泌が増強していたが、骨髄幹細胞移植によってその効果は有意な影響を受けていなかった。 さらに、疾患モデルにおいても同様の検討を進めた。特に頭部外傷モデルラットを用いて上記各治療群の治療効果を検討したところ、行動学的にリハビリ群で有意な治療効果が得られたが、骨髄幹細胞治療によっては有意な治療効果が得られなかった。まだNが不十分であり今後検討を重ねる必要はあるが、少なくとも、リハビリ治療が頭部外傷に対しても機能的改善をもたらす有効な治療であることが明らかになった。
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