2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経作動薬を用いた脳腫瘍幹細胞ターゲット療法の開発
Project/Area Number |
20791013
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
吉川 功一 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (50379955)
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Keywords | 脳腫瘍 / グリオーマ / 脳腫瘍幹細胞 / 神経作動薬 / ターゲット療法 |
Research Abstract |
脳腫瘍幹細胞株樹立およびその特性評価 株化を試みた脳腫瘍(グリオーマ)16サンプルのうち11サンプル(成功率69%)で脳腫瘍幹細胞株樹立を達成した。得られた11株の全ての脳腫瘍幹細胞株において、CD133,CD15,CD44、Nestinなどの幹細胞マーカーを発現が確認され、強制分化誘導により多分化能を有することも確認した。またこれら細胞株を免疫不全マウス脳に移植したところ全ての株が腫瘍形成能を有していることが確認できた。以上の実験により本研究で提唱した新規培養法の有用性が証明された。 グリオーマ幹細胞特異的抗腫瘍効果を持つ薬剤スクリーニング 樹立したグリオーマ幹細胞に対して、当初候補薬剤として挙げていたapomorphine,PAPP,ifenprodilも含む480種類の薬剤を網羅的に用いた薬剤スクリーニングを行いin vitroでの抗腫瘍効果の効果判定を行ったところ、apomorphine,PAPP,ifenprodilのみならずindatraline,sertraline,tegaserodなどの神経作動薬においてもグリオーマ幹細胞特異的抗腫瘍効果が確認された。その抗腫瘍効果はTUNEL染色によりapoptosisを介した効果であることを確認した。これら一連の実験により本研究の目的である神経作動薬がグリオーマ幹細胞に対して特異的な抗腫瘍効果を持つことを実証した。更に当初予定はしていなかったが、追加実験として5-ALA(蛍光色素)を用いた光線力学療法(PDT)の可能性を見るべくグリオーマ幹細胞における5-ALA代謝、PpIX(protoporphyrin)排泄能の評価をflowcytometryを用いて行い、グリオーマ幹細胞におけるPpIX排泄能低下を発見した。この結果、グリオーマ幹細胞に対する治療戦略として5-ALAを用いたPDTも有用な治療ツールとなりうることも実証した。
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