2009 Fiscal Year Annual Research Report
脱シアロ化短半減期エリスロポイエチン誘導体を用いた中枢神経再生治療法の開発
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20791020
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
三木 義仁 Osaka Medical College, 医学部, 非常勤医師 (50454541)
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Keywords | エリスロポイエチン / 短半減期エリスロポイエチン / アシアロエリスロポイエチン / 脳梗塞 / 脳虚血 / 神経保護 |
Research Abstract |
近年、造血ホルモンであるエリスロポイエチン(以下EPO)に神経保護効果や血管新生効果があることが報告され中枢神経疾患の治療への応用が期待されている。昨年度までの本研究において短半減期エリスロポイエチン誘導体である脱シアル化エリスロポイエチン(以下Asialo-EPO)がEPOと同等の神経保護効果とEPOを上回る血管新生効果を発揮することをラット中大脳動脈閉塞脳梗塞モデルに対する治療実験で確かめた。 平成21年度はヒトの蘇生後脳症の疾患モデルに相当すると考えられているスナネズミ一過性4血管閉塞モデルを用いて、Asialo-EPOの持つ生物学的治療効果について検討を行った。本疾患モデルでは脳虚血の導入により海馬CA1領域をはじめとする虚血脆弱部位を中心に選択的にアポトーシスを主体とした神経細胞脱落が生じるが、本モデルに虚血作成後超急性期でEPOおよびAsialo-EPOを投与するとコントロール群(PBS投与群)と比較して有意な神経細胞保護効果ならびに空間認知機能学習効果の改善が認められることを明らかにした。またEPO投与時に観察される造血亢進による多血症は虚血性疾患の治療において不利な副作用と考えられているが、Asialo-EPO群ではEPO群と同等の治療効果が得られているにも関わらず造血能の亢進は全く観察されなかった。現在、本疾患モデルにおけるasialo-EPOのtherapeutic time windowと神経幹細胞に対する内因性神経再生による再生促進作用について検討を進めている。
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