2009 Fiscal Year Annual Research Report
プロアテーゼ活性化受容体を標的とした椎間板変性に対する治療法の開発
Project/Area Number |
20791030
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
明田 浩司 Mie University, 医学部・附属病院, 助教 (20422826)
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Keywords | 椎間板 / サイトカイン / 蛋白分解酵素 / 細胞外基質 / 椎間板変性 |
Research Abstract |
椎間板変性の進行に椎間板内での炎症性サイトカンの発現、蛋白分解酵素(セリンプロテアーゼ、マトリックスメタロプロテアーゼなど)の発現が大きく関与していると考えられている。Proteinase-activated receptor-2(以下PAR-2)はG蛋白共役7回膜貫通型受容体で、特定のセリンプロテアーゼによって特異的に活性化される。近年、PAR-2の活性化は炎症性サイトカインや蛋白分解酵素の誘導を惹起することが報告され、急性および慢性炎症性疾患に対するターゲット分子として注目視されている。平成20年度の研究(In vitroにおけるPAR-2の機能解析)にて、研究代表者らはラット椎間板細胞にPAR-2が発現していることを確認し、PAR-2の活性化シグナルが炎症性サイトカイン、蛋白分解酵素の発現を促進することを明らかにした。 平成21年度:in vivoにおけるPAR-2の機能解析 1. 経皮的椎間板内穿刺手技の開発 X線透視撮影装置を用いて、ラット椎間板に後側方背部より経皮的に造影剤(オムニパー240)を注入すること試み、その手技を確立した。 2. 椎間板内PAR-2アゴニスト注入による椎間板変性度の検討 上記手技を用いて、PAR-2アゴニスト(2-Furoy1-LIGRLO-NH_2; 1 or 100μg)をラット椎間板内に注入した。コントロール群には、PBSおよびペプチドコントロール(phenylacetyl-LIGLO-NH_2)を注入した。注入後、8週間にわたりX線像にて椎間高の推移を観察したが、PBSおよびペプチドコントロール投与群との間に明かな差を認めず、PAR-2アゴニスト単独投与による明かな椎間板高の狭小化は認められなかった。 PAR-2分子は椎間板細胞に存在し、ヒト変性椎間板においてその発現が増強していることが判明したが、PAR-2分子の活性化のみでは、椎間板の構造上の変化を引き起こさない可能性が考えられた。PAR-2シグナルはサイトカインネットワークと連携したがら、椎間板変性に関与していることが考えられた。
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