2009 Fiscal Year Annual Research Report
低出力超音波パルスが新鮮骨折と難治性骨折の治癒に及ぼす作用についての生物学的検討
Project/Area Number |
20791036
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
新倉 隆宏 Kobe University, 医学部附属病院, 特命助教 (40448171)
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Keywords | 低出力超音波パルス / 骨折治療 / 骨折血腫 / 偽関節 / 新鮮骨折 |
Research Abstract |
平成21年度の研究計画は下記の如くであった。 (1) 骨折血腫細胞と偽関節細胞のLIPUSに対する反応性の比較 (2) 骨折血腫の採取部位による、骨折血腫細胞のLIPUSに対する反応性の比較 (1)に関しての成果であるが、偽関節細胞にLIPUSを作用させても骨折血腫細胞においてみられたような、明らかな骨芽細胞系細胞への分化促進効果は認められなかった。偽関節細胞と骨折血腫細胞は臨床上全く病態の異なる患者から採取したものであるため、やはりこの結果通りに偽関節細胞におけるLIPUSの直接作用は骨折血腫細胞におけるものよりも小さい可能性が高いと考察している。ただし細胞培養条件などを変更しての追試も今後予定している。 (2) に関しての成果であるが、骨折血腫を鎖骨、脛骨、腓骨という異なる部位から、それぞれの骨折患者の手術時に採取した。これら採取部位の異なる細胞のLIPUSに対する反応性の比較を行ったが、部位による明らかな反応性の違いは無かった。この結果はすなわち、臨床使用においてもLIPUSは骨折部位にかかわらず作用するという裏付けになったと考えられる。実際の骨折患者を対象とするため身体のあらゆる部位から骨折血腫を採取することは実際困難であるが、継続検討していく予定としている。 さらに、骨折血腫細胞培養系におけるBMP-7(Bone Morphogenetic Protein-7)とLIPUSの共作用についての検討を行った。BMP-7は強力な骨形成能を持つ蛋白質で、欧米においてはすでに難治性骨折治療などに臨床応用されている。LIPUSはBMP-7刺激を受けた骨折血腫細胞の骨芽細胞系細胞への分化を更に促進するという結果を得た。この結果から、臨床応用する場合、難治性骨折治療においてBMP-7とLIPUSを併用することでそれぞれ単独よりも優れた治療効果が期待されるという新しい知見が得られた。
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Research Products
(5 results)