2008 Fiscal Year Annual Research Report
L-セリンによるRANKシグナリングの制御と骨代謝における役割
Project/Area Number |
20791038
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小川 拓哉 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 助教 (30457147)
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Keywords | L-セリン / 破骨細胞 / 分化 / RANK |
Research Abstract |
前駆破骨細胞は分化に際し、非必須アミノ酸L-セリンを外部環境からの供給に依存している。本申請ではL-セリンの破骨細胞分化における作用の分子機構の解明とこの現象の持つ生理的意義について理解を深めることを目指して解析を進めている。本年度は以下の各点について成果を得た。 1) L-セリン非存在下における分化抑制機構 L-セリン非存在下では、破骨細胞分化因子RANKLの受容体であるRANKが速やかに発現低下することを見出した。この現象は、mRNAレベルよりもタンパク質レベルで顕著であり、転写後レベルでの抑制機構が重要な役割を果たしていることが示唆された。また、RANKの発現抑制機構に関してさらに詳細な解析を行うため、RANK遺伝子上流6kbpのゲノム領域ならびに非翻訳領域を取得し、レポーターコンストラクトを構築した。 2) L-セリン代謝産物のRANKシゲナリングへの関与 L-セリンはスフィング脂質をはじめとする様々な生理活性物質へと代謝されるが、その一種であるスフィンゴリン1リン酸の産生に関わるSphK2に関し、RAW264細胞からの破骨細胞分化系において、分化に伴う発現誘導と、miRNAを用いたSphK2発現抑制による分化効率の低下を見出した。 3) 前駆破骨細胞・骨芽細胞におけるL-セリン合成系・輸送系の評価 L-セリン飢餓による破骨細胞分化抑制の原因を明らかにする目的で、L-セリン合成に関わる三種類の酵素(PHGDH, PSAT-1, PSPH)の前駆破骨細胞における発現についてRT-PCRにより調べたところ、いずれの酵素に関しても発現が確認され、破骨細胞分化のL-セリン要求性は、L-セリン合成系の欠損によるものではないことが示唆された。
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Research Products
(3 results)