2009 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞の骨芽細胞分化に対するビスフォスフォネートの影響に関する研究
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20791042
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤田 洋史 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20423288)
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Keywords | ビスフォスフォネート / 骨芽細胞 / 分化 / 間葉系幹細胞 / 石灰化 |
Research Abstract |
ビスフォスフォネート(BP)は、骨粗鬆症治療薬として有効性が認められており、メバロン酸代謝の阻害を介して破骨細胞の機能障害やアポトーシスを誘導し、その結果、骨吸収が抑制されることが報告されている。破骨細胞の形成、分化、Receptor activator of NFκB ligand(RANKL)と破骨細胞にあるその受容体RANKに調節されており、骨代謝において骨芽細胞が破骨細胞を調節していることが明らかとなった。これらはBPが骨芽細胞の分化を抑制することで骨吸収に影響している可能性を示している。その一方でBPの骨芽細胞に対する作用の解明は未だ不十分で、骨芽細胞の分化に対する影響についてはほとんど解明されていない。そこで本研究では、窒素含有BPの一種であるリセドロネート(RIS)を用いて間葉系幹細胞の骨芽細胞への分化とそれに伴うRANKLの発現に対する影響の解明を目的とした。ヒト間葉系幹細胞hMSC及びラット間葉系幹細胞ST1BIIbは、分化刺激により時間依存的に石灰化や骨シアロタンパク質やオステオカルシンmRNAなどの骨芽細胞分化マーカー発現により示される分化誘導が確認された。対して0.1~10μM RIS存在下での分化誘導で石灰化が顕著に抑制され、0.0001~10μM RIS存在下で濃度依存的に分化マーカーの発現を抑制した。一方でRISはRANKLの発現には影響を及ぼさなかった。以上の結果から、RISは骨芽細胞の分化を抑制し、骨芽細胞のRANKL発現を介さずに破骨細胞の機能抑制をしていることが示唆された。本研究課題の成果は、BPの骨吸収抑制の機序において、不明であった間葉系幹細胞への作用をin vitroで示したものであり、骨粗鬆症治療薬の作用機序の一部を明らかにした点で意義がある
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Research Products
(6 results)