2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞接着因子の操作による慢性期脊髄損傷治療法の開発
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20791045
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
鈴木 秀典 Yamaguchi University, 医学部・附属病院, 医員 (30393432)
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Keywords | 脊髄損傷 / 生体材料 / 薬剤 |
Research Abstract |
(1) 慢性期脊髄損傷環境にどの程度の侵襲を加えることで、急性期環境が構築できるのか? 下位胸髄損傷ラットモデルでの慢性期における組織学的検証と併せて、ヒト脊髄患者でのMRI評価で検証をおこなった。組織学的には脊髄障害部は高度障害を生じた場合でも、1〜2髄節以内にその障害範囲は限局したままであった。ヒト脊髄損傷患者におけるMRI変化でも同様の結果が得られた。すなわち、慢性期においても限局した脊髄に対してのみ再生医学的手法を用いた治療を加えれば良いと判断され、将来的には実際の治療範囲同定のための理論的根拠となりうる。 (2) 脊髄損傷ラットにコラーゲンフィラメント移植を行い、組織学的再生過程が発生するか? 下位胸髄切離ラットにコラーゲンフィラメント(以下CF)移植を行った。移植後数日後には神経栄養因子の発現が確認されるとともに、アストロサイトなどの補助細胞のCF内への進入が確認される。これに後押しされるように軸索もCF内へと進入してくる。移植後8週程度にて再生軸索の髄鞘化と神経生理学的な機能回復が確認された。Long tractの再構築も一部確認され。 最終的には脊髄の局所再生が生じることが確認された。実際には再生効率は、若年ラットにおいてでも約10%未満と推測している。今後は、十分な機能回復のために、再生効率をさらに上昇させる必要性が問題点として残存した。CF内にて枯渇している神経栄養因子補充と併せて、薬剤投与を併用した集学的治療を開始している。
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