2009 Fiscal Year Annual Research Report
3TMRIとMDCTによる変形性膝関節症の軟骨下骨梁解析
Project/Area Number |
20791046
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
千葉 恒 Nagasaki University, 長崎大学・病院整形外科, 医員 (00457574)
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Keywords | 変形性関節症 / 軟骨 / 軟骨下骨 / 骨梁構造 / MRI |
Research Abstract |
【目的】変形性膝関節症(OA)の軟骨と軟骨下骨を、臨床用高磁揚MRIを用いて、詳細な画像解析を行い、発症や進行における変化を観察した。 【対象・方法】対象はOA患者42人と健常人18人の計60名、全例女性。対象膝の単純X線とMRIを撮影。MRIの撮像法はSPGR、FIESTA-c、T2mapである。SPGRで軟骨形態を、FIESTA-cで軟骨下骨梁構造を、T2mapで軟骨変性を評価した。 【結果・考察】SPGR(軟骨形態):健常人の軟骨の厚みは、内側大腿骨、内側脛骨、外側大腿骨では平均1.6mm前後だったが、外側脛骨では約2.6mmと厚みがあり、外側大腿骨の前方部には約1.1mmの生理的菲薄部があった。健常人でも部位により厚みに違いがあることがわかった。現在、日本人膝の軟骨形態のデータベースを作成中である。OA患者の軟骨は、KL2以上をOAと定義した場合、荷重部2cm幅における軟骨面積が約60mm2以下であった。現在も、軟骨摩耗の進行パターンを詳細に解析中である。 FIESTA-c(軟骨下骨梁):健常人の骨梁体積は、外側関節でやや大きい傾向があった。OA患者では、SPGRで評価した内側関節の軟骨の減少に伴い、その直下の軟骨下骨の、骨梁体積や骨梁幅は増加し、外側関節の軟骨下骨の骨梁体積や骨梁幅、骨梁数、骨梁連結性は減少していた。内側関節では、軟骨下骨への応力が増大し骨梁が肥厚し、外側関節では逆に、応力減少により骨梁が減少し、局所的な骨粗鬆症の状態となっていることが予測された。 T2map(軟骨変性):私達の調査では、軟骨量の減少と、軟骨のT2緩和時間に有意な関係はなかった。軟骨の変性を画像評価するためには、手法の精度をより向上させる必要があると考えた。 【結論・意義】MRIは、軟骨形態の3次元的評価に非常に有用であり、軟骨の面積や体積の測定は、今後の臨床現場へ普及すると思われる。同時に、軟骨下骨は、OA変化と強い相関を有し、その定量的計測は、OA評価の新しい指標となるかもしれない。本手法は、今後、OAの病態解明(発症・進行・疼痛)や、早期診断、治療薬や骨切り術の効果判定などに応用可能と考えられる。
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Research Products
(12 results)