2008 Fiscal Year Annual Research Report
消化管ペプチドの骨代謝における役割の解明と骨粗鬆症治療への応用
Project/Area Number |
20791058
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
福嶋 信広 Kurume University, 医学部, 助教 (90412535)
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Keywords | 消化管 / 骨芽細胞 / ペプチド / カルシウム |
Research Abstract |
消化管から分泌され、骨代謝、特に骨芽細胞に強力に作用するペプチドの存在が推測され、今回そのペプチドの分離・精製をおこない、その機能を解析した。【方法】まず、ラットの消化管からペプチド画分を抽出し、各種クロマトグラフィーにて展開し、骨芽細胞に反応させ、細胞内セカンドメッセンジャーの変化を測定した。このアッセイ法を指標としてペプチドを分離・精製し、構造決定した。次に決定したアミノ酸配列をペプチド合成器にて合成し、天然ペプチドと合成ペプチドの比較を行った。まず逆相クロマトグラフィーにて析出時間の比較を行った。またそれぞれのペプチドによる骨芽細胞における細胞内Caイオン濃度の変化を測定した。さらにペプチドの生理作用を検討した。まずラット骨芽細胞を用い細胞内のカルシウム濃度の変化を確認した。さらにラットへの腹腔内投与により血中のカルシウムイオン濃度の変化を測定した。【結果】(1)ラットの胃からのペプチド抽出液から骨芽細胞内のカルシウム濃度を上昇させるペプチドを分離し、精製に成功した。結果、24アミノ酸配列のペプチドを同定した。質量分析の結果、ペプチドの質量は2763.4Daであった。(2)分離精製した天然ペプチドと合成ペプチドとの比較を行った。RP-HPLCにおいて差を認めず構造が一致していることが証明された。また骨芽細胞内のカルシウムイオン濃度測定においても、天然物と合成物との問に差を認めず、機能的にも一致していることが証明された。(3)ペプチド投与により、骨芽細胞においてdose dependentな細胞内カルシウムの上昇をもたらすことを確認した。骨芽細胞以外の細胞においては細胞内カルシウム濃度の上昇は認めず、骨芽細胞に特異的に作用することを確認した。(4)ラットへの腹腔内投与によって、血中のカルシウムイオン濃度の低下を引き起こすことを証明した。この研究にて同定した新規ペプチドは今後新たな骨粗鬆症治療製剤の開発につながるものと考える。
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