2008 Fiscal Year Annual Research Report
ドラッグデリバリーシステムを応用した徐放化局所麻酔薬の作成と慢性疼痛治療への応用
Project/Area Number |
20791065
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
戸部 賢 Gunma University, 医学部, 助教 (90400770)
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Keywords | 徐放薬 / 局所麻酔薬 / ポリ乳酸 / 術後痛 / c-fos |
Research Abstract |
1. 【薬剤作成】長期徐放型局所麻酔薬の作成を、京都大学再生医科学研究所生体材料学の教室の協力を得て行った。ポリ乳酸もしくはポリ乳酸とポリグリコール酸の重合体とリドカインを用いて、顆粒状徐放薬とシート状徐放薬を作成した。さらに、現在ヒトに用いることのできる徐放薬作成を検討中である。 2. 【徐放試験】pH7.4のPBS(phosphate buffer solution)溶液中における薬剤徐放試験を行った。分子量を大きくし、シート状にすることで初期放出を抑えることに成功した。 3. 【行動実験】作成した徐放薬を用いて行動実験を行った。250gラットを用い、左後肢に切開を加える術後痛モデルを作成し、坐骨神経周囲へ徐放薬剤の投与を行った。痛みの評価は、機械刺激で行った。コントロール群(未治療群)との比較で、痛み閾値を低下させないことを確認し、さらに徐放されていないリドカインそのものとの比較でも徐放薬としての利点を示すことができた(5、10、24、48、72時間)。 4. 【脊髄免疫染色】ラットの潅流固定を行い、脊髄後角スライスを作成し、痛みのマーカーとして利用されるc-fosを用い免疫染色を行った。リドカイン徐放薬投与群では、コントロール群、リドカインそのもの群に比べて有意にc-fos陽性細胞数が少ないことを確認した。 5. 【安全性の確認】徐放薬投与後のラット血中濃度測定を行った。徐放薬投与群では、2, 5, 10時間後の血中濃度は測定範囲外であった。(全身への影響はないかあっても軽微) 6. 【今後】ヒトに用いることのできるポリマーを購入して、ヒトボランティアに対してもリドカイン徐放薬を安全に使用できるように確認したい。さらに、別の薬剤を用いた徐放薬作りにも着手したい。
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