2009 Fiscal Year Annual Research Report
ドラッグデリバリーシステムを応用した徐放化局所麻酔薬の作成と慢性疼痛治療への応用
Project/Area Number |
20791065
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
戸部 賢 Gunma University, 医学部, 助教 (90400770)
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Keywords | 徐放薬 / 局所麻酔薬 / ポリ乳酸 / 術後痛 / c-fos |
Research Abstract |
昨年までに、ポリ乳酸・ポリグリコール酸を用いた30%リドカイン徐放シートの作成に成功し、それを用いてラット行動実験、脊髄免疫染色により、in vivoにおいてもその作用時間の延長を確認できた。今年度は、その作成した薬剤の安全性について主に調べた。全身への影響を調べるために、2、5、10h後のタイムポイントにおけるラットのリドカイン血中濃度を測定した。30%リドカイン20mg徐放薬投与では、2時間後にわずかに測定できたラットが1匹/6のみいたが、それ以外のタイムポイントでは測定限界以下であった。同量のリドカインそのものを投与したものと比較しても明らかに低く、動物内においても徐放になっていることも示すことができた。 さらに、運動麻痺の程度についても調べたが、リドカインそのものを投与したものに比べて明らかに麻痺は少なかった。さらに、徐放薬投与部位周囲の炎症反応について、組織学的に調査した。投与部位周囲の坐骨神経、筋肉を一塊に取り出し、H-E染色で、炎症細胞の浸潤や神経細胞や筋細胞の形態学的変化を病理医により点数化した。結果、徐放薬投与群では、坐骨神経や筋肉への影響は投与部位に非常に近い場所にあっても軽微であった。 以上の実験結果より、リドカイン徐放シートは生体内においても安全に使用できると思われた。一方で、今回作成した徐放薬では、非常に分子量が大きいため生体内での分解に時間がかかり臨床応用という意味ではやや実用性にかける問題点も発生した。 これを解決するべく、分子量の小さいポリマーを用いたり、粒子化することを念頭にさらに新たな徐放薬作成も開始している。今後は、別の薬剤を用いての徐放薬作成、鎮痛治療を行っていく予定である。
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