2010 Fiscal Year Annual Research Report
ドラッグデリバリーシステムを応用した徐放化局所麻酔薬の作成と慢性疼痛治療への応用
Project/Area Number |
20791065
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
戸部 賢 群馬大学, 医学部, 助教 (90400770)
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Keywords | 徐放薬 / 局所麻酔薬 / 術後痛 |
Research Abstract |
数年前よりポリ乳酸とリドカインを用いて、局所麻酔薬徐放の研究を進めている。シート状のリドカイン徐放薬に関しては、ラットの術後痛モデルを用いて、投与周囲の筋肉障害や神経障害を起こすことなく、安全かつ長時間の鎮痛効果を示すことができた。その結果を、アメリカ麻酔学会機関誌であるAnesthesiology誌に投稿し、2010年に掲載された。一方で今回作成したものは、シート状のものであったため、今年度はリドカイン徐放粒子の作成のために時間を費やした。粒子化することができれば、さらに利用できる範囲は広がり臨床応用へ一歩近づくことが考えられた。更には、薬剤による特性による相違がある可能性を考え、リドカイン以外の局所麻酔薬における徐放薬作成にも着手した。粒子化は以前にも行ったが、やはり初期の大きな放出の制御がうまくいかず、徐放薬の濃度や徐放手法に工夫が必要であると思われる。現在はポリ乳酸やポリグリコール酸を用いて作成しているが、ポリエチレングリコールやゼラチンハイドロゲルを使うなどの別の手法が必要になってくる可能性が高い。さらなる研究余地がある。リドカイン以外の局所麻酔薬に関しても問題点は同様である。 粒子化の試みの一方で、作成したリドカイン徐放シートの実用化に向けた製品作りも並行して行っている。カテーテル類をコーティングしたりすることで、体に入る部分での痛みを軽減させることが狙いである。 以上の内容を2010年6月に日本麻酔科学会で発表し、優秀演題賞に選ばれた。目指すところは臨床応用であるので、来年度以降もさらなる研究を進めていく必要があると思われる。
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