2008 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性脳障害の分子機構における好中球エラスターゼの役割に関する検討
Project/Area Number |
20791076
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
平田 孝夫 Yamaguchi University, 医学部・附属病院, 助教 (40420533)
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Keywords | 好中球エラスターゼ / 脳保護 / 一過性前脳虚血 / 海馬CA1 / カスパーゼ |
Research Abstract |
【はじめに】中枢神経における虚血再潅流傷害に, 活性化白血球から放出される好中球エラスターゼ(NE)の関与が報告されている. われわれは一過性脳虚血後の海馬CA1神経細胞死に対するNE阻害薬(ONO-5046)の効果と作用機序を検討した. 【方法】8週齢Wistar ratの前脳虚血(両側総頸動脈遮断(8分間)+低血圧(平均動脈圧45-50mmHg))モデルを用いた. 再潅流直後に, ONO5mg/kg, 10mg/kgをボーラス投与した群(ONO群)と, 生理食塩水を投与した群(C群)で, 7日後の海馬CA1生存細胞数比を検討した. また, ONO(10mg/kg)群とC群で血中NE活性(再潅流15, 30分, 1, 4, 8時間(h))を測定し, さらに, 脳内NE局在, 海馬CA1のカスパーゼ3/7活性(再潅流4, 8h)およびマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-9活性(再潅流1日(d))を検討した. 【結果】海馬CA1生存細胞数比は, ONO5mg/kg, 10mg/kg群で34%, 63%(vs. C群3.5%)と有意に高かった. 血中NE活性(nmol/l)は再潅流1hでONO10mg/kg群16.5(vs. C群45)と有意に抑制された. NEの局在については, C群で海馬内側の血管内皮細胞(再潅流4h)から海馬CA1近傍の細胞外マトリックスに強く見られた(再潅流8h)のに対し, ONO群では血管内皮にとどまった. 海馬CA1のカスパーゼ3/7活性(再潅流8h)はONO群89%(vs. C群154%)で有意に抑制された. MMP-9活性(再潅流1d)はONO群98%(vs. C群110%)と活性が抑えられる傾向にあった. 【考察・まとめ】NE阻害薬ONO-5046はラット一過性脳虚血神経細胞死を軽減させた. その効果には血中NEを抑制するとともに脳組織への浸潤を抑制し, マトリック傷害の軽減が関与する可能性が示唆された.
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Research Products
(1 results)