2009 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素誘発活性化マイクログリアによるニューロン障害の温度依存的応答
Project/Area Number |
20791077
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松井 智浩 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 助教 (50314828)
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Keywords | 脳低温療法 / マイクログリア / TNF-α / IL-6 / NO / ATP / p38 MAPK |
Research Abstract |
【目的】炎症性サイトカインや一酸化窒素(NO)は脳障害増悪に関与する。活性化マイクログリアはこれらの細胞傷害性(炎症性)因子産生を介しニューロン傷害を引き起こす。よって、脳保護を目的とする脳低温療法はマイクログリアのサイトカインやNO産生を軽減する可能性がある。本研究では、アデノシン三燐酸(ATP)による活性化マイクログリアのサイトカインとNO産生並びにp38 Mitogen-Activated Protein Kinase (MAPK)活性化に低温・高温が及ぼす影響を調べた。 【方法】新生仔ラット脳より単離したマイクログリアをATP(1mM)で刺激し、33-37-39℃下で6時間まで培養した。培養上清中の炎症性サイトカイン(TNF-αおよびIL-6)産生量はELISAにて、NO_2^-(NOの安定な代謝産物)産生量は比色法にて、細胞内活性化p38 MAPKはFast Activated Cell-based ELISA (Active Motif社)にて、それぞれ測定した。 【結果】TNF-α産生は37℃に比べ33℃では低値を示し、39℃では差がなかった(培養3時間)。IL-6産生は37℃に比べ33℃では低値を示し、39℃では差がなかった(培養6時間)。NO_2^-産生は37℃に比べ33℃では低値、39℃では高値を示した(培養6時間)。また、活性化p38 MAPKは37℃に比べ33℃、39℃ともに低値を示した(培養1分間)。 【結論】低温早期では、ATP活性化マイクログリアのTNF-α、IL-6およびNO産生並びにp38 MAPK活性化が低下した。よって、脳低温療法による脳保護効果の一作用機序に、活性化マイクログリアのp38 MAPK活性化阻害を介した早期での炎症性因子抑制が関与することが示唆された。また、高温早期では、マイクログリアのNO産生のみ増加した。このNO産生の温度依存性変化は、NOが低温早期でのニューロン保護効果および高温早期でのニューロン傷害増悪において、病態把握のための重要なマーカーになりうることを示唆する。
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