2008 Fiscal Year Annual Research Report
心筋の虚血再灌流障害におけるRhoキナーゼの役割解明と制御
Project/Area Number |
20791079
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
柴田 伊津子 Nagasaki University, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (10404245)
|
Keywords | 心筋虚血再灌流障害 / 心筋スタニング / Rho-kinase阻害薬 / 薬理学的プレコンディショニング / ポストコンディショニング |
Research Abstract |
麻醉したブタを用いて、気管切開を行い人工呼吸器を装着し、胸骨を切開し心臓を露出し、頚動脈-左前下行枝バイパスを作製した。このバイパス回路を12分間遮断し90分間解除することによって左前下行枝灌流領域を虚血再灌流させる心筋虚血再灌流モデル(心筋スタニングモデル)を作成した。虚血再灌流部位に一対の超音波クリスタルを植え込み局所心筋短縮率(%SS)測定し、心筋収縮力の指標とした。このモデルを用いて、Rho-kinase阻害薬ファスジルの薬理学的プレコンディショニング効果、ポストコンディショニング効果について検討した。さらに虚血再灌流後の塩酸ファスジルの投与時間が心筋スタニングの回復に与える影響について、虚血再灌流直後から投与した群と虚血再灌流30分後から投与した群とで比較し検討した。Rho-kinase阻害薬ファスジルは臨床使用量を中心静脈から全身投与した。 ファスジルの虚血前投与、及び虚血再灌流直後の投与が心筋スタニングからの回復を改善することが明らかとなった。しかし、血再灌流30分後からの投与では改善は認ぬられなかった。このことからRho-kinase阻害薬ファスジルは心筋スタモングに対して保護作用があり、その保護作用は心筋への直接作用ではなく、薬理学的プレコンディショニング効果や薬理学的ポストコンディショニング効果であることが証明された。この成果は、Cardiovascular drugs and therapy 2008 ; 22:293-298に掲載された。
|