2009 Fiscal Year Annual Research Report
難治性疼痛に対する経皮的抗うつ薬の鎮痛効果と作用機序の臨床的解析
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20791081
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
境 徹也 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70346948)
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Keywords | 難治性疼痛 / 電流知覚閾値 / アミトリプチリン / 神経遮断効果 / 抗うつ薬 |
Research Abstract |
難治性疼痛は神経障害性疼痛であることが多い。神経障害性疼痛は、非ステロイド性抗炎症鎮痛薬が無効であり、抗うつ薬、抗不整脈薬、抗けいれん薬等により治療される。なかでも、抗うつ薬は神経障害性疼痛の治療に内服薬として用いられるが、吐き気などの副作用が少なからず出現する。近年、抗うつ薬が局所麻酔薬と同様のナトリウムチャネルブロック作用をもち、その神経遮断効果は局所麻酔薬より作用時間が長いことが示唆されている。よって神経障害性疼痛患者に対し抗うつ薬を経皮投与することで長時間の鎮痛を得ることができる可能性がある。今回、健常ボランティアに抗うつ薬であるアミトリプチリンを経皮投与し、その神経遮断効果と安全性を検討した。対象は健常ボランティア9名。塩酸アミトリプチリンは100mM/Lを水酸化ナトリウムにてpH8.5に調整した。健常ボランティアの右前腕内側にプラスチックフィルムにて覆われたガーゼを貼付したのち、アミトリプチリンを3ml注入し1時間後に除去した。感覚試験は電流知覚閾値(CPT)と古典的感覚テストでおこなった。CPTは投与側と非投与側で、2000(Aβ)、250(Aδ)、5(C)Hzの周波数にて測定した。古典的感覚テストは非投与側の感覚を10とした場合の投与側でのボランティア自身の感覚の程度を触覚、痛覚、冷覚、温覚にて評価した。これらは、アミトリプチリン投与前とガーゼ除去直後、以後1時間毎に5時間まで測定した。また、意識状態、調布部位の状態も観察した。非投与側のCPTは全時間を通して変化はなかったが、投与側は全周波数で除去後4時間まで有意に上昇した。古典的感覚テストでは、触覚と冷覚が除去後5時間まで、温覚と痛覚は4時間まで有意に低下した。また冷覚は他感覚に比べ強く低下した。全例で意識状態には問題はなかった。調布部位における発赤、痒み、温刺激による痛覚過敏はそれぞれ、9名、5名、6名でみられた。
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