2010 Fiscal Year Annual Research Report
中枢性疼痛の発現機序ー脳内交感神経受容体との関連の解明、治療への応用に向けて
Project/Area Number |
20791089
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
高橋 陵太 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 病院講師 (00464628)
|
Keywords | アミド型局所麻酔薬 / 脳 / 薬物動態 / リドカイン / ブピバカイン / レボブピバカイン / マイクロダイアライシス |
Research Abstract |
中枢性疼痛の発現機序を解明するに当たり、まず脳内交感神経受容体と中枢神経活動の関連を求めるためにwhole animalで次の通り実験を行った。8週齢、体重350-400gのSD系雄ラットを用い、セボフルランによる全身麻酔下で頸動静脈にカテーテルを入れた後に覚醒させた。中枢神経系に対する興奮作用を有するブピバカインとレボブピバカインを各々1mg/minで、興奮作用が無いと考えられるリドカインを4mg/minで持続投与を行った。その結果、リドカインの投与の際には血圧上昇が認められなかった一方、ブピバカイン、レボブピバカインを投与した際には平均血圧が約60%程度上昇し、これらに交感神経刺激作用があることが示された。またこの血圧上昇は、脂肪乳剤の投与によって抑制されることが判明し、これらの局所麻酔薬の蛋白非結合分画のみが中枢神経系に作用していることが示唆された。次に交感神経受容体との関係を明らかにする目的でマイクロダイアライシス法の手技を確立するため、Bregmaの前方1.7mm、右外側1.4mmにマーキングの上、頭蓋骨表面より6mmの深さまでガイドカニューレを進め、先端が側座核(nucleus accumbens)に位置するようにした上で覚醒させた。2-3日後にガイドカニューレをマイクロダイアライシスプローブに交換後、シリンジポンプを用いて、人工脳脊髄液で灌流し、得られた灌流液をフラクションコレクターで収集し、マイクロダイアライシスによって脳内のリドカイン、ブピバカイン、レボブピバカインの濃度を定量した。その結果、リドカインについては0-15μg/ml、ブピバカイン、レボブピバカインについては、0-3μg/mlの範囲で正確な定量が可能になった。何れの麻酔薬についても、定量限界は0.1μg/mlであった。以上の結果から、局所麻酔薬の中でもブピバカイン、レボブピバカインは脳における交感神経受容体刺激作用があることが示唆された。
|