2009 Fiscal Year Annual Research Report
シクロスポリンは痛みの感受性を変えるか?:シクロスポリンの麻酔薬作用に及ぼす影響
Project/Area Number |
20791092
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 友紀 Jichi Medical University, 医学部, 助教 (50406047)
|
Keywords | 麻酔薬 / 痛み / シクロスポリン |
Research Abstract |
これまでのマウスモデルを用いた研究により、シクロスポリン投与による不安行動の増加や社会行動の減少は、疼痛の増強に関与することが明らかとなった。痛みの感受性には心理的要素が大きく関与することが知られているが、上記の結果はヒトにおいても同様に「うつ」や「不安」といった精神状態が、痛みの感度を上昇させることを示唆するものである。そこで申請者はヒトにおける簡便な痛みの評価系の確立をめざし、非侵襲的かつ簡便なモニタリングの一つであるパルスオキシメータに着目し、指先部の血流量の指標として測定されるperfusion indexの有用性を検討した。健常者ボランティア20名に対し、熱流束式皮膚温度感覚閾値計(intercross-200)を用いて熱刺激による痛覚閾値温度を求め、同時にperfusion indexの変化を観察した。すると、熱による耐えられない痛みを感じた時点でperfusion indexは基準値の約30%まで著明に低下し、その後緩やかに回復することが判明した。以上より、perfusion indexは痛みによる交感神経系の緊張による血管収縮を鋭敏に反映し、疼痛刺激の評価系として有用なモニターであることが判明した。
|