2009 Fiscal Year Annual Research Report
どの酸化ストレスマーカーが脳虚血再潅流障害の指標になりうるか?
Project/Area Number |
20791094
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
坂本 英俊 Teikyo University, 医学部, 講師 (90349267)
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Keywords | 脳・神経 / 薬理学 / 虚血再潅流 / 酸化ストレス / HMGB1 |
Research Abstract |
High-mobility group box 1(HMGB1)は正常細胞では核内クロマチンを安定化させる作用がある。しかし、一端細胞が壊死に陥いるとHMGB1は細胞外に放出され梗塞神経細胞周囲の炎症を助長させる。本実験では、細胞外に放出されたHMGB1が脳虚血再灌流障害の1つのマーカーになり得るかどうかを経時的に脳脊髄液を採取して検討した。また、HMGB1に拮抗作用があるといわれるグリチルリチン酸(GA)の影響も検討した。[方法]体重230~250gの雄Wistarラットを使用した。中大脳動脈脳梗塞モデルはシリコンコーティングナイロン糸を中大脳動脈に挿入して中大脳動脈閉塞モデルを作成し、90分後に再灌流した。再灌流直後および再灌流12時間後にGA100mg/kg(5ml/kg)、または生理食塩水(NS)5ml/kgを腹腔内投与しGAの影響も検討した。脳脊髄液採取および神経学的スコアリングは、中大脳動脈閉塞前(コントロール)、再灌流直後、再灌流12時間後、再灌流24時間後、再灌流3日後、再灌流7日後に行った。HMGB1の測定はELISA法を用いて行なった。また、神経学的スコアリングと髄液HMGB1の相関についても検証した。[結果](1)GA処置は再灌流24時間後の神経学的スコアを有意に改善した。(2)再灌流3日後までデータがそろっていたNS群(5例)とGA群(4例)を繰り返しのある2元配置分散分析で行ったが、2群間に差はなかった。(3)神経学的スコアと脳脊髄液HMGB1との間に相関は認められなかった。以上の結果から、少なくとも中大脳動脈脳梗塞モデルにおいて、脳脊髄液HMGB1はその虚血および脳障害の実態を反映ないことが判明した。
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