2009 Fiscal Year Annual Research Report
下行性痛覚抑制経路におけるD体アミノ酸の作用に関する研究
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20791095
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松田 光正 Tokai University, 医学部, 助教 (10384918)
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Keywords | Dセリン / セリンラセマーゼ / in situ hybridization / 免疫組織化学 / 下行性疼痛抑制経路 / 大縫線核 |
Research Abstract |
D体アミノ酸が哺乳類において重要な生理作用を有することが認められたのは最近のことである。すなわち、哺乳類脳内に遊離型Dセリンが大量に存在すること、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体グリシン結合部位の内因性リガンドであることが明らかとなってきた。 下行性疼痛抑制経路おけるDセリンの作用を明らかにする目的として、Dセリン合成酵素のセリンラセマーゼ(Srr)遺伝子およびタンバク質発現量、並びにDセリン量をin situハイブリダイゼーション法、免疫組織化学法により組織内分布を詳細に検討した。研究結果(1) Dセリン量:抗Dセリン抗体を用いた免疫組織化学法により組織内におけるSrr量を詳細に検討した。神経細胞においてDセリンは主に観察された。(2)Srr mRNA分布:in situ hybidization法により組織内におけるSrr mRNAを詳細に検討した。Srr mRNA発現全ての脳部位の神経細胞において観察された。(3)Srrタンバク質分布:免疫組織化学法により組織内におけるSrrを詳細に検討した。Srr発現は全ての脳部位の神経細胞において観察された。(4)大縫線核においてDセリンおよびSrr遺伝子、タンバク質発現量が高いことが明らかとなった。これまで、下行性疼痛抑制経路における大縫線核のグルタミン酸受容体を介してセロトニン系を亢進して鎮痛効果を発現することが知られているが、グルタミン酸受容体に作用する内因性リガンドは明らかにされていなかった。今回の研究結果により、下行性疼痛抑制経路においてDセリンと鎮痛効果が連関していることが示唆された。
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