2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791107
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
重村 克巳 Kobe University, 医学研究科, 医学研究員 (00457102)
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Keywords | 前立腺癌 / ホルモン抵抗性 |
Research Abstract |
本研究は前立腺癌の増悪機構に関して、前立腺の上皮と間質がどのように関わって、それに影響を及ぼすか、を検討したものである。前立腺癌、特に転移を有する例では一般的にはじめにホルモン治療が行われるが、ホルモン療法抵抗性になったときに現在のところコンセンサスの得られている治療は少ない。そしてその治療戦略の解明のためにその増悪機構さらにはホルモン抵抗性を獲得する機構の研究は重要である。通常前立腺上皮から発生する、と言われているが、特に今回我々はその増悪機構になかで前立腺間質がどのように上皮に関わって、上皮より発生する癌の増悪にかかるかを、胎児の尿路原基などで過剰発現するsonic hedgehog(Shh)タンパクとその下流シグナルである、Gli1タンパクさらには生存タンパクであるKi67との発現との関連とを通じて研究した。 本研究は最終的にはホルモン抵抗性前立腺癌の治療法開発を目指すことからまず我々は実際の生体でかつタンパクレベルでの検討を行い、そこで起こっていることを把握するため、さらに文献的にComparative expression of Hedgehog ligands at different stages of prostate carcinoma progression.(Azoulay, et.al. J Pathology 2008 ; 216(4) : 460-70)で、より高い浸潤能力を有しかつホルモン抵抗性の前立腺癌ではHedgehog分子の発現は上皮で上昇し間質で低下することを示し、かつhedgehogリガンドの発現はmRNAレベルと免疫染色では一致しない、ことから、それとの比較という意味もあり、前立腺癌での前立腺摘出標本を用いての免疫染色を行った。現在までのところ、非癌部位に比べて癌部位で特に上皮の細胞質でShhの発現が過剰である傾向が見られた。さらにその下流シグナル、すなわちShh-Gli1細胞内シグナル伝達系において、Glilが非癌部位に比べ、癌部位で、さらに過剰発現しており、そしてその発現は多くは、細胞質内で起こっているが、特にGleason scoreが高い例や精嚢浸潤例など進行例では間質の核内での発現が見られている。さらにそのような進行例ではKi67の発現も多い傾向が見られた。
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