2009 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱癌におけるジェムシタビン耐性克服を目的とした分子標的治療の基礎的研究
Project/Area Number |
20791108
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
村蒔 基次 Kobe University, 医学部附属病院, 助教 (10448178)
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Keywords | 膀胱癌 / ジェムシタビン / 抗癌剤耐性 / 分子標的治療 / アポトーシス / in vivo study / Clusterin |
Research Abstract |
我々は昨年までにジェムシタビン耐性膀胱癌細胞株UM-UC-3/Rを用いた、in vitroおよびin vivo実験によって、ジェムシタビンに対して耐性獲得した膀胱癌細胞は強力な抗アポトーシス効果を有するClusterinを過剰発現するが、Clusteirnを標的とするアンチセンスオリゴを併用することによりジェムシタビンの抗腫瘍効果を増強することを示した。この結果は2009年のBJU Int.に掲載された。抗癌剤抵抗性獲得に重要な役割を持つと思われるClusterinの機能解析を行った。Clusterinは強い抗アポトーシス効果を持つタンパクと考えられているが、一方でアポトーシス誘導効果を持つ他の同位体の存在も報告されており、これら正反対の作用を持つタンパクの発現は環境に応じて細胞内で複雑にコントロールされていると考えられている。(Shannan, B, et al, Cell Death, Differ, 2006)また我々はヒト、霊長類のみに発現が認められる新たなClusterinの同位体が存在することを確認した。そしてこれら数種の同位体のヒト発現ベクター、また翻訳開始コドンのポイントミューテーションを有する発現ベクターを作成した。それぞれのベクターをUM-UC-3親細胞に導入し、低濃度のジェムシタビンによるアポトーシスを誘導したところ、exon IIを開始点とするclusteirn過剰発現株のみに抗癌剤耐性が認められ、同部位のsplice variantおよびポイントミューテーション導入株では抗癌剤耐性が認められなかった。これらの結果はストレス応答蛋白としてのclusterinの複雑な制御機構について重要な知見と思われ、さらなる追証実験を実施中である。
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