2009 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌性尿路感染症対策としての抗バイオフィルム剤探索とその基盤技術の開発
Project/Area Number |
20791110
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
和田 耕一郎 Okayama University, 病院, 医員 (20423337)
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Keywords | 大腸菌 / バイオフィルム / 尿路感染症 / キノロン耐性 / 実験モデル系 |
Research Abstract |
大腸菌性尿路バイオフィルム感染症の予防法および治療法の確立を主要な目的として研究を遂行した。 1. 岡山大学病院泌尿器科において、キノロン耐性大腸菌の分離頻度は年々増加傾向にあり、2006~2007年には、分離された全大腸菌のうちキノロン耐性大腸菌が約20%に達した。さらに2008年には27%に上昇し、ペニシリン・セフェム系薬にも耐性化傾向を認めた。1994年から2007年に尿路感染症から分離された大腸菌828株を対象に検討を行った結果、キノロン耐性大腸菌におけるバイオフィルム形成能は、主要な耐性メカニズムではないものの多剤耐性化には関与していると推察された。 2. 平成20年度に着手したリアルタイムイメージングシステム(IVIS Imaging System)を使用する実験において、発光標識大腸菌(Escherichia coli Xen14)を用い、in vitroおよびin vivoでのバイオフィルム形成能に関する検討を継続した。in vitroスクリーニング用ペグ付マイクロプレートにおいて、人工尿中1~2日目にバイオフィルム形成を認めたが、IVISでは可視化できなかった。E.coli Xen14株の尿路における病原性を確認するために、マウスを用いて10^5~10^6CFU/ml接種で実験を行った結果、7日目まで腎内・尿中大腸菌が検出され、感染の成立を確認した。また、マウス大腿部感染モデルでは、E.coli Xen14の生菌数とIVIS発光強度(フォトン数)との関連性を確認した。以上の成績に基づいて、マウスおよびラット尿路バイオフィルム感染症モデルでの検討を行ったが、膀胱内留置ポリエチレンチューブに形成された大腸菌性バイオフィルムの発光強度は検出限界以下であった。尿路バイオフィルム感染症に対する治療効果判定に関しては、更なる検討を要すると考えられた。
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Research Products
(3 results)