2010 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌と尿路上皮癌に関する遺伝子・環境相互作用の研究
Project/Area Number |
20791114
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
月野 浩昌 宮崎大学, 医学部, 助教 (60433059)
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Keywords | 遺伝子多型 / 前立腺癌 |
Research Abstract |
【目的】喫煙、食事、放射線、感染など様々な生活環境に伴って体内に酸化ストレスが発生する。酸化ストレスで生じる物質8-hydroxyguanineは遺伝子変異をもたらし、DNA鎖を切断し、発癌性のイニシエーション作用を有しているとされている。hOGG1は8-hydroxyguanineを除去する酵素であり、XRCC1はDNA修復を促進する機能がある。近年hOGG1とXRCC1には遺伝子多型があることが報告され、hOGG1Ser型はCys型より活性が高いことが分かっている。様々な臓器の発癌にhOGG1とXRCC1の遺伝子多型が関連する報告があり、今回我々は、hOGG1とXRCC1の遺伝子多型と前立腺癌の発癌感受性との関連性について検討した。【対象と方法】組織学的に診断された前立腺癌患者168例、健常者172例を対象とした。同意のとれた被験者の末梢白血球よりゲノムDNAを抽出し、hOGG1及びXRCC1遺伝子多型をPCR-RFLP法によって分析した。統計解析はロジスティック回帰を用いた。【結果・考察】hOGG1 Ser/Ser+Ser/Cys型の割合は前立腺癌患者群73.2%、健常者群80.8%であった。hOGG1 Cys型の割合は前立腺癌患者群26.8%、健常者群19.2%であり、統計学的に有意な差は認められなかった(OR:1.62,95%CI:0.97-2.73)。また、XRCC1 Arg/Arg+Arg/Gln型の割合は前立腺癌患者群95.2%、健常者群90.7%であった。XRCC1 Gln/Gln型の割合は前立腺癌患者群4.8%、健常者群9.3%であり、統計学的に有意な差は認められなかった(OR:0.45,95%CI:0.18-1.14)。今回の我々の研究結果は、hOGG1及びXRCC1の遺伝子多型と前立腺癌発症との関連性を認めなかった。
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