2008 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経障害に伴う排尿反射亢進と排尿抑制機構不全に関する研究
Project/Area Number |
20791115
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
西島 さおり University of the Ryukyus, 医学部, 技術補佐員 (00433102)
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Keywords | 脳梗塞 / 橋排尿抑制野 / 吻側橋網様体 / 排尿反射 |
Research Abstract |
初年度となる平成20年度は、正常ラットと脳梗塞ラットで排尿抑制野である吻側橋網様体(rostral pontine reticular formation : RPRF)を化学刺激し、脳梗塞に伴うRPRFの排尿反射に及ぼす作用の変化について検討した。SD系メスラットを正常脳群と脳梗塞急性期群(脳梗塞3日後)に分けた。ウレタン麻酔下にラットの頭骸骨(bregma-9.5mm, R1.0mm)に小穴をあけた後、生理食塩水で等容量性膀胱内圧測定を行なった。ラットの膀胱収縮が一定間隔で出現する状態になったら、生理食塩水、カルバコールまたはセロトニンをRPRFに注入し、投与前後の膀胱活動を比較した。その結果、正常脳群では、カルバコール0.3μMの投与で膀胱収縮は停止し、セロトニン0.3μMの投与で最大膀胱収縮圧は低下、膀胱基線圧は上昇した。一方、脳梗塞群では正常脳群に比べて膀胱収縮間隔は短かったが、正常脳群で膀胱収縮を抑制するだけの量またはその10倍量のカルバコールまたはセロトニンを投与しても膀胱収縮に変化はなかった。以上のことから、正常ラットのRPRF下行性ニューロンにはコリン受容体やセロトニン受容体が存在し、両薬剤はRPRFニューロンの活性化を介して排尿反射を抑制することが示唆された。一方、脳梗塞状態では既にRPRF下行性ニューロン自体の感受性が低下しており、RPRF下行性ニューロンを活性化させても十分な排尿抑制効果が得られないことが考えられた。その理由として、脳梗塞による頻尿にはRPRFへの興奮性投射の減少が関与していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)