2009 Fiscal Year Annual Research Report
進行性腎細胞癌に対する活性型ビタミンD3による抗腫瘍効果の解明と個別化医療の提供
Project/Area Number |
20791120
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
小原 航 Iwate Medical University, 医学部, 講師 (90337155)
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Keywords | 進行性腎癌 / 活性型ビタミンD / 個別化医療 |
Research Abstract |
(1) 活性型ビタミンD3製剤による正常腎細胞株の変化(in vitro) 腎細胞癌の発生母地とされるヒト近位尿細管由来細胞株(RPTEC)に活性型vitamin D3(1α,25(OH)2D3)を投与し、細胞の形態変化ならびに遺伝子群の変化を検討した。この結果、活性型ビタミンD製剤の濃度(10-7~10-9)および時系列(12時間、24時間、36時間、72時間)により、細胞変化を観察したが明らかな増殖抑制や形態変化を認めなかった。また、ビタミンD代謝酵素(CYP27A1、CYP27B1、CYP24)の遺伝子発現変化をreal-time PCR法およびwestem blottingで検討したが、明らかな発現低下および上昇は認めなかった。この結果、外因性のビタミンD製剤が正常腎細胞に与える影響は少ないと考えられた。 (2) 活性型ビタミンD3製剤とsunitinib併用の抗腫瘍効果に関する検討(in vitro) 抗腫瘍効果の増強を目的として、腎癌培養株(Caki-1,Caki-2,ACHN)に活性型ビタミンD3(1α,25(OH)2D3)およびsunitinibを添加し腫瘍増殖抑制効果をMTT assay法で検討した。この結果、活性型ビタミンD3製剤単独に比較してsunitinibとの併用で増殖抑制効果が増強された。また、ビタミンD代謝酵素(CYP27A1、CYP27B1、CYP24)遺伝子のうち、CYP24は活性型ビタミンD3製剤およびsunitinibにより発現が上昇し、活性型ビタミンD3の代謝経路の活性化が示唆された。 (3) 活性型ビタミンD3製剤によるマウス腎癌細胞への影響(in vivo) 雌性BALB/Cマウスに腎癌株(Renca)を皮下移植し、活性型ビタミンD3投与による腫瘍増殖抑制効果の検討を行った。活性型ビタミンD3製剤は溶解しマウスに内服させ、2週間でsacrificeした。腫瘍体積は非投与群に比較して平均15%程度小さい傾向にあった。今後、細胞周期およびアポトーシス誘導、血管新生阻害等の検討によりin vivoにおける抗腫瘍効果のメカニズムを明らかにする予定。
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Research Products
(4 results)