2008 Fiscal Year Annual Research Report
リポソーム法を用いたIL-15遺伝子導入による膀胱癌治療および再発予防効果
Project/Area Number |
20791121
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松本 一宏 Keio University, 医学部, 助教 (80366153)
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Keywords | インターロイキン-15 / 遺伝子治療 / 免疫治療 / 非筋層浸潤性膀胱癌 |
Research Abstract |
【目的】表在性膀胱癌に対してはBCG膀胱内注入による免疫治療が再発予防の主役を担っているが、長期の免疫誘導は期待できず、膀胱癌に対する新たな免疫療法の確立が望まれる。IL-15は自然免疫系細胞の分化成熟を誘導し、さらに長期の免疫記憶を担うメモリ-T細胞の維持に重要であることが知られている。今回、膀胱癌へのIL-15遺伝子導入治療について研究を行った。【方法】In vitroにてマウス膀胱癌細胞株MBT-2にLacZ遺伝子をliposome法にて導入し、その導入効率をX-gal染色にて確認した。次いでIL-15遺伝子を同様の方法にて導入し、上清中のIL-15分泌量をELISAにて測定した。マウス膀胱癌同所性モデルを用い、腫瘍の生着した膀胱へin situにLacZおよびIL-15遺伝子のlipoplexを膀胱内注入し、腫瘍への導入効率、腫瘍重量の推移、および病理組織学的所見を検討した。【成績】In vitroにおいて効率的にLacZ遺伝子をMBT-2細胞に導入しえた。また遺伝子の濃度依存性にIL-15分泌量の増加が確認された。In situでの膀胱内への遺伝子導入では腫瘍巣に強いX-gal染色を認め、遺伝子導入が確認された。またIL-15遺伝子導入により有意に腫瘍増殖抑制効果を認め、またコントロール群に比べ有意に生存率の延長を認めた。IL-15治療群の腫瘍周囲には多くのCD8陽性細胞の浸潤を認めた。【結論】In situによるIL-15遺伝子治療にて、マウス膀胱癌に対する腫瘍増殖抑制を認めた。その抗腫瘍効果には、CD8陽性T細胞が関与しているものと考えられた。
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