2009 Fiscal Year Annual Research Report
アデノ随伴ウイルスベクターを用いた胎児遺伝子治療の臨床応用のための基礎研究
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20791131
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小倉 剛 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (40451702)
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Keywords | AAV / 妊婦 |
Research Abstract |
胎児遺伝子治療を実際の臨床応用に発展させるために、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた際のヒト(妊娠・胎児)における安全性について、及び有用な血清型について検討する「ことが目的である。有用な血清型については、もともと人のもっている中和抗体等の抗体による治療効果の減弱を避けるべく、抗体保有率の少ない血清型のAAVを選択するという方法に基づき検討する予定であった。AAVの存在と妊婦における病原性の検討では昨年度に引き続きnested PCRにおけるプライマーダイマーを減少させるべくプライマーの設計やPCR条件等の調整を行っている。一方、ELISA法を用いた血中AAV抗体測定法は、AAV capsidが大量に必要であることが判明し、さらに各血清型AAVの抗体保有率を調べるためには血清型の異なるAAVカプシドがそれぞれ大量に必要となる。そこで我々は疾患モデルマウスを胎児遺伝子治療のモデルとして用い、治療成績より実際に臨床で有用と思われるAAVベクターの血清型を絞り込むこととした。予備実験としてレポーター遺伝子を組み込んだ各血清型のAAVベクターを作成し、投与したところAAV1型ベクターの腹腔内投与が最も効率がよかったためフェニルケトン尿症治療遺伝子を組み込んだAAV1型ベクターをフェニルケトン尿症モデルマウスに腹腔内投与したところ、血中のフェニルアラニン濃度が有意に低下し治療効果が確認された。また、この効果は1回のベクター投与で1年以上続くことが確認された。これらの実験結果は第61回日本産婦人科学会学術講演会にて発表した。本検討の結果より、AAV1型ベクターの腹腔内投与が今後の臨床応用に有用であることが示唆され、抗体保有率の検討もAAV1型に的を絞れば効率がよいことが判明した。
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