2008 Fiscal Year Annual Research Report
p57KIP2免疫染色による異常妊娠における続発症発生のリスク分類
Project/Area Number |
20791132
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
木原 真紀 Chiba University, 医学部・附属病院, 助教 (20375760)
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Keywords | 胞状奇胎 |
Research Abstract |
[対象]県内他施設から13例(A群)、院内での経験症例からの20例(B群)を対象とした。 [方法]千葉県内で取り扱った異常妊娠(自然流産および胞状奇胎)で、絨毛組織が採取された症例で、妊娠母体から研究参加について文書による同意が得られた症例について、DNA分析およびp57^<KIP2>免疫染色を行った。 DNA分析 : 母体末梢血中リンパ球および奇胎絨毛組織よりDNAを抽出し、母体アリルと奇胎アリルにおけるshort tandem repeat(STR)サイズを比較し、DNA構成を判断した。 p57^<KIP2>免疫染色 : 抗p57^<KIP2>モノクローナル抗体を用いて免疫染色を行い、絨毛栄養膜細胞(villous trophoblast)および絨毛間質細胞(mesenchyme cell)の核の10%以上に染色を認めるものを陽性と判断した。 [結果]A群において、病理組織学的に部分奇胎とされた症例の6割強はp57^<KIP2>免疫染色では全奇胎と診断された。B群においては、およそ半数の症例は組織学的検査において胞状奇胎と診断されたものの全奇胎か部分奇胎かの判断はできない、との結論となった。これらの症例のほとんどはDNA解析においては全奇胎であり、部分奇胎は1例を認めるのみであった。 組織診断と免疫染色診断とDNA診断の三者を比較できた症例では、免疫染色診断とDNA診断の結果は完全に一致したが、免疫染色およびDNA診断で全奇胎と判明した症例のうち、組織所見においても全奇胎と診断できたのは6割に過ぎず、2割は組織所見では全奇胎か部分奇胎か診断困難、2割は部分奇胎との正しくない診断がなされていた。 [考察]組織学的部分奇胎の60%はp57^<KIP2>免疫染色やDNA診断では全奇胎と診断される。近年、形態診断では診断困難な全奇胎の存在が認識されるようになり、絨毛性疾患取り扱い規約の改定の作業が開始している。今回の研究成果は、こういった全国的な場でも活かされることが期待される。
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