2009 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣がん治療の個別化を目指した卵巣がんにおけるがん幹細胞の同定
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20791135
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
楯 真一 Chiba University, 大学院・医学研究院, 助教 (00322636)
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Keywords | 卵巣がん / 化学療法 / がん幹細胞 |
Research Abstract |
進行卵巣がんの再発には、化学療法耐性のいわゆるcancer stem cellが関与していると考えられている。すなわち、化学療法により大部分の腫瘍細胞がapoptosisやnecrosisに陥り消失するが、その中で薬剤耐性を有するstem cellが周囲の繊維化や硝子化による低酸素環境下に耐えて生き残る。その後、ゆっくりと増殖し、やがてheterogenousな腫瘍細胞へ分化して臨床的再発にいたると考えられている。したがって、このcancer stem cellを標的とした診断治療が、進行卵巣がんにおいて重要な鍵となる。現在までに我々は、進行卵巣がんにおける寛解導入化学療法後の腹水細胞診陰性例の予後が良好であることを報告してきた。腹水細胞診により、再発をより正確に予知できるかどうかを研究目的とした。化学療法中に腹腔内リザーバーを用いて洗浄腹水細胞診検査を行い、細胞診陰性化を確認後IDSを行い完全切除をおこなっている。平成20から21年度、進行卵巣がん患者に対して腹腔内留置リザーバーを設置し、10例中9例の患者が初回治療から平均19.1週にて腹水中にがん細胞の消失を確認し、完全手術を施行することができた。術中に摘出されたリンパ節に転移の残存を認めた群では、腹水細胞診陰性化までの期間(中央値)が37.4週と、リンパ節転移の残存を認めなかった群の腹水細胞診陰性化までの期間20.3週よりも、長くかかっていた。腹水細胞診陰性化に時間を要する症例では、IDS時に後腹膜リンパ節転移が残存している可能性が示唆された。
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[Presentation] 化学療法により肉眼的に消失した卵巣がん播種病巣に腫瘍細胞が遺残しているか?2009
Author(s)
楯真一, 加藤一喜, 平敷好一郎, 碓井宏和, 木原真紀, 山地沙知, 植原貴史, 三橋暁, 清川貴子, 中谷行雄, 生水真紀夫
Organizer
第46回日本婦人科腫瘍学会学術集会
Place of Presentation
新潟
Year and Date
2009-07-10