2009 Fiscal Year Annual Research Report
子宮頸部発癌過程での低酸素応答異常とHPV癌遺伝子によるHIF1活性化の分子機構
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20791138
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中村 充宏 Kanazawa University, 附属病院, 医員 (50377397)
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Keywords | HPV / 低酸素 / 子宮頚癌 / HIF-1 |
Research Abstract |
本年度はHuman papilloma virus (HPV)細胞における低酸素下での転写因子Hypoxia inducible factor-1a (HIF-1a)の発現亢進のメカニズムについて検討を行った。HPVのOncoproteinのあるE6、E7がHIF1aの発現上昇に寄与していることを昨年度に明らかにした。E6とHIF-1aとの関係は過去多数の報告があるが、E7とHIF-1aについて報告がなされていないため、E7に注目し検討を行った。 説明と同意の下に得られた正常ヒトケラチノサイトに高リスク型のHPV31 E7をIntegrationさせた細胞を用いて、低酸素あるいは発現プラスミドによってHIF-1aを発現させ種々の検討を行った。免疫沈降法にてE7がHIF-1aに結合していることが確認された。またE7はがん抑制遺伝子であるp53の発現を上昇させることが知られているので、p53との関係についても検討を行ったところ免疫沈降法にてp53もHIF-1aに結合していることが認められE7、p53そしてHIF-1aの3因子が相互に関わっていることが明らかとなった。さらなる詳細な検討の結果、E7がp53とMDM2との関与を減弱させることによりHIF1-aとの結合を促進させていること、E7とp53との結合にはE7のRb結合部位が必要であることが明らかとなった。 本研究は低酸素下での子宮頸癌進展における分子機構の解明や分子標的治療薬の開発に寄与するものと考えられる。
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