2009 Fiscal Year Annual Research Report
卵およびES細胞質を用いたがん細胞の初期化・再分化療法の確立に向けての基礎的検討
Project/Area Number |
20791140
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
深澤 宏子 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (60362068)
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Keywords | 癌 / 体細胞核移植 / クローン胚 / ES細胞 / ntES細胞 |
Research Abstract |
体細胞クローン動物の作出の成功という実験事実から、卵細胞質内には分化終了細胞を未分化な状態にする初期化因子(reprogramming factor ; RF)および、再び種々の方向に分化させる分化因子(differentiation factor ; DF)が存在することは確実である。本研究の目的は、これらの因子を用いてがんの新たな治療法を開発することである。しかしながら、これらの因子の本態が現在のところ不明であること、また、卵細胞質は十分な量を確保することが難しいことなどから、これまで卵細胞質を研究材料として研究を遂行することは困難であった。そこで本研究では、卵細胞質を研究材料として用いるために、卵細胞質の凍結保存が可能か検討する目的で凍結除核卵細胞に体細胞核移植を行ったところ、非凍結卵細胞質への体細胞核移植に比して胚盤胞到達率や生仔獲得率は非常に低かった。この凍結後の発生率の低下の原因を詳細に検討することは、より良い凍結保存法の開発に結び付くと考え、本年度は、核と卵細胞質のそれぞれに対する凍結の影響を独立して検討するMESI (Metaphase II spindle injection)法を確立した。将来的に大量の卵細胞質を用いたRFやDFの分離・精製を念頭に置き、この方法論を用いて、次年度以降、これらの因子が凍結により受ける影響の検討や、より良い保存法を確立し、卵細胞質内の初期化因子の特性を解析するとともに、さらに、それらの分離同定を試みる。
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