2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791143
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
味村 和哉 Research Institute, Osaka Medical Center for Maternal and Child Health, 研究所免疫部門, 研究員 (50437422)
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Keywords | 未熟能 / 新生児低酸素性虚血性脳症 / プレコンディショニング / グルタミン酸 / GLT1 / βラクタム抗生剤 / Ceftriaxone |
Research Abstract |
新生児脳障害発生の初期にグルタミン酸の興奮毒性が増悪因子として働く。我々は、β-ラクタム抗生剤(セフトリアキソン)によるプレコンディショニングでグルタミントランスポーター1(GLT1)を増加させグルタミン酸を減少させることで、脳保護効果があるという結果を報告してきた。当該年度は、セフトリアキソンおよびβ-ラクタム系以外の抗生剤(ミノマイシンやエリスロマイシン)が未熟脳のGLT1の発現に与える影響と虚血低酸素耐性に与える影響、およびそれらの抗生剤が脳に与える副作用の有無について検討した。モデルはヒト正期産児の脳と成熟度が一致するとされている生後7日のラット新生仔を用いた。5日間ラットの腹腔内に抗生剤を投与したのち、生後7日目において新生仔の脳を摘出、摘出脳をホモジナイズおよび遠心分離し、ウェスタン・プロッティングによりGLT1蛋白の同定を行ったところ、セフトリアキソン投与群のみでGLT1蛋白の増加を認めた。次に前述のプレコンディシヨニングを行ったラットを用いて、現在一般的に利用されているラット新生仔低酸素虚血性脳症モデルを作成し、その後7日目に新生仔の脳を摘出、固定包埋の上切片を作成し、MAP2の免疫組織染色を行い、脳梗塞量を定量化したところ、セフトリアキソン投与群のみで梗塞量の減少を認めた。副作用に関して脳における神経毒性はいずれの群でも認めなかった。セフトリアキソン投与は未熟脳におけるGLT1発現を増加させ、虚血低酸素耐性を上げるという興味深いデータが得られており、今後は長期的な神経機能の予後について検討を加える予定である。このデータは新生児の周産期脳障害に対して新たな予防処置(β-ラクタム抗生剤の予防投与)の可能性を示唆するものである。
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