2009 Fiscal Year Annual Research Report
胎児心時相解析ならびに大動脈脈波波形解析を用いた新たな胎児心循環機能評価法の開発
Project/Area Number |
20791149
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤田 恭之 Kyushu University, 大学病院, 助教 (20398077)
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Keywords | 胎児医学 / 心ポンプ機能 / 末梢循環不全 / 心時相解析 / 脈波 |
Research Abstract |
胎児心・循環不全の病態形成過程をドプラ心弁信号・大動脈脈波解析によって心ポンプ機能低下と末梢循環不全の両面から個別に評価し、明らかにすることを本研究の目的とし、平成21年度は疾病胎児(主にIUGR胎児)を対象とし、胎児心時相解析ならびに大動脈脈波の指標の変化を観察した。 1-1) 胎児心時相解析:IUGR胎児を対象として、超音波Bモード装置で胎児心臓の軸を確認した後に超音波送信波が僧帽弁、大動脈弁の動きによる反射波を受信できる角度でドプラ胎児心拍検出装置を用いて母体腹壁上から胎児ドプラ心弁信号を採取し等容性収縮期時間(ICT)を計測した。ICTが延長している胎児では、出生体重が小さく、緊急帝王切開術の頻度が高く、心ポンプ機能低下に随伴する症状が出現していることが示唆された。また、胎児貧血症例において、貧血に伴いICTが短縮すること、また、胎児治療による貧血の改善に伴い、ICT値が正常化することがわかった。 1-2) 胎児大動脈脈波解析:IUGR胎児19例を対象とし、エコートラッキング法を用いて、胎児大動脈の経時的な血管壁変位を大動脈脈波波形として記録し、得られた大動脈脈波波形から心収縮早期における脈波のreflection pointを同定し、脈波の振幅と反射成分との比である胎児AIx値を算出した。AIx値が高値を示す胎児では、臍帯動脈RI値に異常を示す頻度が高く、末梢循環不全の指標となりうることが示唆された。
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