2008 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン抵抗性改善薬が多嚢胞性卵巣症候群の子宮内膜に与える影響
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20791155
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 明子 Fukushima Medical University, 医学部, 助手 (00457764)
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Keywords | 多嚢胞性卵巣症候群 / インスリン抵抗性 / 高アンドロゲン血症 / メトホルミン / 子宮内膜の性ステロイドレセプター |
Research Abstract |
近年、インスリン抵抗性を示すPCOS患者に対し、メトホルミン投与による排卵率改善の報告が多くなされている。しかしながら、PCOS患者では排卵率が改善されても、依然として妊娠率は低く流産率が高いことが報告されている。この背景には子宮内膜の異常があり、インスリン抵抗性や高アンドロゲン血症、慢性的な高エストロゲン状態が影響していると考えられている。 PCOSにおけるインスリン抵抗性と高アンドロゲン血症に着目し、メトホルミン加療前後において、血中内分泌・糖代謝パラメーター及び子宮内膜の性ステロイドレセプターのうち、estrogen receptorα[ERα]・androgen reqeptor[AR])及び性ステロイドに制御されているαvβ3integrin・HOXA10発現様式の変化について検討した。 PCOSにしメトホルミンを3ヶ月投与した時点では、排卵周期が得られ、メトホルミン有効例で、LH値・アンドロゲン値・HOMA-IR値の改善傾向を認めた。 子宮内膜に関しては、加療後にERα・ARの発現低下、αvβ3integrin・HOXA10の発現増加が認められた。ERα・ARの発現低下は、排卵周期の得られたメトホルミン有効例で明らかであり、異常な発現亢進状態が改善されたと考えられた。メトホルミン投与は排卵率の改善だけではなく、子宮内膜の性ステロイド環境変化にも関与している可能性が明らかとなった。 現在、PCOSの着床障害へのメトホルミン投与に対する治療効果評価法は確立されていない。この研究はメトホルミン投与によるPCOS子宮内膜の性ステロイド環境変化の評価につながる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)