2009 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン抵抗性改善薬が多嚢胞性卵巣症候群の子宮内膜に与える影響
Project/Area Number |
20791155
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 明子 Fukushima Medical University, 医学部, 助教 (00457764)
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Keywords | 多嚢胞性卵巣症候群 / インスリン抵抗性 / メトホルミン / 高アンドロゲン血症 / 子宮内膜エストロゲンレセプター / 子宮内膜アンドロゲンレセプター / 子宮内膜異常 |
Research Abstract |
近年、インスリン抵抗性を示す多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)患者に対し、メトホルミン投与による排卵率改善の報告が多くなされている。しかしながら、PCOS患者では排卵率が改善されても、依然として妊娠率は低く流産率が高いことが報告されている。この背景には子宮内膜の異常があり、インスリン抵抗性や高アンドロゲン血症、慢性的な高エストロゲン状態が影響していると考えられている。 また、メトホルミン投与がPCOS患者での高い流産率を改善するといった報告も散見されるが、その効果についてはまだ議論の残るところであり、流産率改善の機序についてもいまだ解明はされていない。 インスリン抵抗性をもつPCOS患者にメトホルミン投与を行ったあとの子宮内膜性ステロイドレセプター発現の変化につき、昨年度から引き続き研究を継続した。本年はestrogen receptor α (ERα)・androgen receptor (AR)にしぼり免疫染色を行い、HSCOREを用いて半定量的な分析を行った。症例数は昨年4症例であったが、現在8症例に増やし検討している。 メトホルミン内服後排卵周期が得られた症例に関しては、血中LH値・アンドロゲン値・HOMA-IR値の改善傾向を認め、子宮内膜においてEKα・ARともに加療前より発現低下を認めた。PCOSにおける子宮内膜でのERα・ARの異常な発現亢進状態が改善されたと考えられた。また、メトホルミン内服後2例が妊娠に至った。しかしながら、投与後排卵周期が得られなかった症例に関しては、血中内分泌・代謝パラメータの改善は明らかではなく、子宮内膜ERα・ARの発現にも加療前後に有意差を認めなかった。メトホルミシ投与にて排卵周期が得られた症例に関しては、メトホルミン投与が子宮内膜の性ステロイド環境変化にも関与していると考えられた。今後も症例を増やして検討を続ける予定である。
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