2008 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類卵子成熟、減数分裂過程における卵子特異的リンカーヒストンの関与
Project/Area Number |
20791164
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
浅井 哲 Keio University, 医学部, 助教 (70383867)
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Keywords | 卵子特異的リンカーヒストン / Hlfoo / リン酸化 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
【目的】 生殖細胞には性腺特異的なリンカーピストンが存在し, マウスにおいては卵子特異的Hlfooが知られる. 卵クロマチン構造におけるHlfoo蛋白のリン酸化による役割を解明するため, HlfooとMPF (Maturation promoting factor ; cdc2+cyclinB1)との関連について検討する. また, ノックアウト(KO)マウスを用いて形態学的・組織学的にHlfooの機能解析を行う. 【方法】 1. リコンビナントHlfoo蛋白および,Hlfooのリン酸化部位候補の中からHlfooのN末端, C末端各々から50アミノ酸ずつ削除したdeletion mutant蛋白を作成. これらを基質として活性型cdc2によるin vitro kinase assayを行い, MPFによるHlfooのリン酸化やその部位を同定した. 2. HlfooKOマウスの機能解析 (1) Hlfoo+/-(hetero)♀と野生型(WT)♂を交配させ, Hlfoo-/-(homo)♀を作成. hetero♀とhomo♀のgenotypingには導入遺伝子の近傍プライマーを用いたPCRを用いた. (2) KOマウスの雌性不妊について, homo♀, hetero♀, WT♀をWT♂と交配させ, 産仔数を比較した. (3) Hlfooと卵胞形成の関連を調べるため, 8週齢のhomo♀とWT♀の片側卵巣を摘出, HE染色し卵胞数を比較した. 【結果】 1. HlfooはMPFによりリン酸化され, その部位はN末端側から20番目のセリンであることが示された. 2. 1匹あたりの産仔数は, homo♀, hetero♀, WT♀で有意差を認めなかった. 3. 卵巣組織切片の卵胞数について, homo♀はWT♀に比して少ない傾向にあった. 【結論】 HlfooはMPFによりリン酸化され, その部位が20番目のセリンであることが示された. またKOマウスの解析で, homo♀は産仔数においてWT♀と差はなかったが, 卵胞数が減少することからHlfooが卵形成に関与する可能性が示された.
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