2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791169
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
吉村 志帆 Showa University, 医学部, 普通研究生 (50384441)
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Keywords | cell-free RNA / cellular RNA / 母体血 / 胎盤機能 / 癒着胎盤 / 妊娠高血圧症候群 |
Research Abstract |
母体血漿中cell-free RNAを用いてhPL, hCGの遺伝子発現を定量すると、両遺伝子は血中蛋白濃度と強い正の相関を示す。また、hPL遺伝子は、妊娠経過に伴い漸増し、分娩後、24時間で検出されなくなる。さらに、母体血細胞成分からRNA(cellular RNA)を抽出してhPL, hCGの遺伝子発現を定量しても血中蛋白濃度と正の相関を示す。このことから、cell-free及びcellular RNAは胎盤の機能的な変化を反映していることが分かった。そこで、今年度、胎盤が妊娠高血圧症候群の病態形成の主座であることから、cellular RNAを用いてその発症予知の可能性を検討した。妊娠15-20週の臨床症状のない妊婦から採血し、妊娠経過を観察したところその後に62例が妊娠高血圧症候群を発症した。1:5マッチで妊娠高血圧症候群を発症した62例と発症しなかった310例で母体血cellular RNAで各種遺伝子の発現定量を行った。その結果、FLT1、ENG、P-selectin、PLAC1は妊娠高血圧症候群をその後に発症した群で高値を示し、逆に、PlGFとHO-1は低値を示した。TGF-β1、VEGF、SODには有意な変化は見られなかった。ROC curveを用いて妊娠高血圧症候群の発症予知の可能性について解析したところ、ENGが、次いで、FLT1が特に優れた妊娠高血圧症候群の予知マーカーであることが分かった。さらに、ENG、FLT1、PlGFと経産か否かの4因子の組み合わせで、妊娠高血圧症候群の66%が、疑陽性率10%で予知可能であることがわかった。このように、母体血細胞成分中遺伝子を定量することで、胎盤の機能的な変化を無侵襲に評価できることを示した。しかし、癒着胎盤については、事前に検体採取した症例に癒着胎盤は発生しておらず、至適マーカーの同定には至らなかった。
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Research Products
(4 results)