2008 Fiscal Year Annual Research Report
スギ花粉特異的長期生存型B細胞の形成機構および維持機構の解明
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20791180
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
稲嶺 絢子 Chiba University, 大学院・医学研究院, 産学連携研究員 (70466720)
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Keywords | アレルギー・ぜんそく / 免疫学 / 細胞・組織 / 発生・分化 / 遺伝子 |
Research Abstract |
花粉症は花粉がヒトの鼻などの粘膜に付着して鼻炎などの症状を引き起こし、発症後は毎年の花粉飛散時期において症状を繰り返す代表的な季節性の一型アレルギー疾患である。花粉が引き起こすアレルギー反応の要因には主に花粉を排除するために抗体産生を誘導する体液性免疫応答機構と、一度認識した抗原に対する防御機能を長期間維持するための免疫記憶機構が関与していると考えられている。そのため、抗原特異的な長期生存型B細胞の形成機構および維持機構が解明できれば、アレルギー反応の主要因となる長期生存型B細胞からのIgE産生経路を特異的に抑制せすることができ、花粉症発症の予防策になりうるのではないかと考えられる。 本年度は、まずスギ花粉症者を対象に花粉飛散期前、中および後におけるスギ花粉特異的IgE陽性B細胞の経時的変化を調べた。またOVA抗原誘導性アレルギー性鼻炎モデルマウスを作製し、抗原暴露により誘導された抗原特異的IgE産生細胞の局在場所を経時的に解析した。 その結果、花粉症者の末梢血においてスギ花粉特異的IgE陽性B細胞は花粉飛散期前、中および後のいずれの点においても存在が認められ、さらに花粉飛散期後においてスギ花粉特異的IgE陽性B細胞数が著しく増加していることがわかった。また、アレルギー性鼻炎モデルマウスの解析から、アレルギー性鼻炎の発症後から主に頸部リンパ節に抗原特異的IgE産生細胞が認められ、さらに発症後においても数は減少しているものの、局在が認められた。 以上の結果から、花粉症においてスギ花粉特異的IgE陽性B細胞は何らかの機構において長期間維持されており、またアレルギー性鼻炎の誘導により産生された抗原特異的IgE陽性B細胞は主に頸部リンパ節で産生される可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)