2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791181
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
千原 康裕 The University of Tokyo, 保健・健康推進本部, 助教 (20401060)
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Keywords | 前庭 / 耳石器 / 神経生理学 / パッチクランプ / めまい平衡 / VEMP |
Research Abstract |
平衡障害、めまい疾患の中で末梢前庭障害が大きな割合を占める。本研究は末梢前庭の神経生理学的研究を行い治療の進歩につなげる。臨床面で新しい耳石器機能検査(oVEMP検査 : ocular vestibular evoked myogenic potentials検査)の開発をすすめ、動物実験では、前庭神経節細胞の膜特性についてパッチクランプ法を用いた解析を行う。平成20年度は臨床研究において、顔面神経麻痺や難聴症例群における検討で、oVEMPの起源を明らかにした。この成果は、VEMPの開発者であるシドニーのPrince of Wales Hospital and UNSW Clinical SchoolのProf. Colebatchによって、今後のoVEMP研究に重要なものとして高く評価された(J. G. Colebatch, Keeping an eye on the vestibular system, Clin Neurophysiol 120(2009)451-452.)。これに付随した研究として、oVEMPの周波数特性や直流電流刺激(galvanic刺激)後における平衡機能異常についても学会報告を行った。また、基礎研究として、平成20年度はheterogeneousな前庭神経節細胞の発火特性に関与するイオンチャネル(電位作動性カリウムチャネル)を具体的に同定した。さらに神経栄養因子の一つであるBDNFが前庭神経節細胞の発火に影響を与えることを示し、学会報告を行った。これまで、主にシナプス入力の相違で形成されると考えられていた前庭神経のregularな発火とirregularな発火の違いが、一部は前庭神経節細胞そのものの膜特性に起因する可能性を示したものであり、前庭システム解明のための基礎となると思われる。
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