2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791187
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
西尾 信哉 信州大学, 医学部, 研究員 (70467166)
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Keywords | 遺伝子 / 難聴 / 内耳 / 聴覚 / マイクロRNA |
Research Abstract |
近年、神経分化やガン、線虫の脱皮や酵母の減数分裂、動物、植物の発生時に、miRNAと呼ばれる内在性の翻訳されない短いRNA分子が大きな機能を持つことが明らかとなり、その機能の解明が世界的に大きな注目を集めている。 本研究では、12週齢と20週齢の加齢促進モデルマウス(SAM-P1)と、その対象系統(SAMR-1)を用いて、その聴力変化とマウスの蝸牛内のmicro RNAの発現を網羅的に解析した。その結果、聴性脳幹反応(ABR)による聴力測定の結果では、4群のうち20週齢のSAM-P1マウスでは老人性難聴の特徴である高音部の聴力低下を認めたが、12週齢のSAM-P1マウス、12週齢・20週齢の対象系統マウス(SAM-R1)では老人性難聴の特徴である高音域の閾値上昇が認められなかった。 また、DNAマイクロアレイを用いたmicro RNAの発現量の比較を行った結果、20週齢のSAM-P1の蝸牛においていくつかのmicro RNAの発現量が変化するのに対して、12週齢のSAM-P1マウス、12週齢・20週齢の対象系統マウス(SAM-R1)ではmicro RNAの発現量がほとんど変化していないことを見出した。さらに、マウス内耳では有毛細胞とらせん神経節にだけ発現するmicro RNAとして知られているmiR-183ファミリーの発現が老人性難聴を呈するマウスでは半分以下に減少している事が明らかとなった。この結果は、内耳に発現するmicro RNAの発現量の変化が、老人性難聴の原因となっている可能性を示唆しているものと考えられる。
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