2008 Fiscal Year Annual Research Report
肥満細胞と自然免疫のクロストークからのアレルギー性鼻炎制御の試み
Project/Area Number |
20791193
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
清水 保彦 Shimane University, 医学部, 助教 (60418788)
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Keywords | アレルギー性鼻炎 / Toll様受容体 / エンドトキシン / マスト細胞 |
Research Abstract |
アレルギー性鼻炎の実効相において中心的な役割を担う肥満細胞では、in vitroの実験により、LPS刺激によりTLR4を介してTh2型サイトカイン産生が誘導されることが証明されているが、in vivoでのデータは少ない。マウスアレルギー性鼻炎モデルを作製し、反応相におけるLPSの影響について検討した。Day0とDay7にOVA、AlumをBalb/cマウスに腹腔内投与して感作を成立させ、Day14に血清を採取してELISA法にてOVA特異的抗体価を測定した。Day21から28まで、OVAおよびLPSの点鼻を行い、マウスアレルギー性鼻炎モデルを作製した。最終点鼻直後より5分間くしゃみの回数を測定し、鼻粘膜組織を採取して組織学的検討を行なった。鼻粘膜におけるTh2型のサイトカインの発現について、免疫沈降-western blot法にて検討した。その結果、くしゃみの回数は、OVA単独点鼻群と比較して、OVAとLPS点鼻群において有意な増加を認めた。鼻粘膜組織では、OVA単独点鼻群において好酸球浸潤を認めたが、OVAとLPS点鼻群では好酸球浸潤がより顕著となった。鼻粘膜のTh2型サイトカイン発現の検討では、IL-5,IL-10,IL-13いずれもOVA単独点鼻群で発現を認めたが、OVAとLPS点鼻群ではOVA単独点鼻群と比較してIL-5の発現の増強を認めた。続いて、TLR4の遺伝子変異マウスであるC3H/HeJマウスと、野生型のC3H/HeNマウスとを用いて、LPSの影響について検討しました。その結果、TLR4の遺伝子変異マウスであるC3H/HeJマウスでは、反応相におけるLPSの同時点鼻投与の影響(くしゃみの回数、好酸球浸潤、Th2型サイトカイン産生)を認めなかった。上記の結果から、実効相においてLPSが肥満細胞のTLR4を介しIL-5発現を誘導することによりアレルギー性炎症の増悪因子として作用することが示唆された。肥満細胞欠損マウスを用いて検討したところ、野生型マウスではOVA/LPSの点鼻による好酸球浸潤の増加およびIL-5発現の増強が確認されたが、肥満細胞欠損マウスではOVA単独群とOVAとLPS点鼻群との間で有意な差を認めなかった. 肥満細胞欠損マウスの鼻粘膜のTh2型サイトカイン発現の検討では、IL-5, IL-10, IL-13いずれもOVA単独点鼻群で発現が確認されたが、OVAとLPS点鼻群ではOVA単独点鼻群と比較してIL-5の発現の増強は認められなかった。
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Research Products
(13 results)