2009 Fiscal Year Annual Research Report
肥満細胞と自然免疫のクロストークからのアレルギー性鼻炎制御の試み
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20791193
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
清水 保彦 Shimane University, 医学部, 助教 (60418788)
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Keywords | アレルギー性鼻炎 / 肥満細胞 / 自然免疫 / Toll-like receptor(TLR) / lipopolysaccharide(LPS) / Interleulin-5 / 好酸球 |
Research Abstract |
目的:マウスアレルギー性鼻炎モデルを作製し、反応相におけるLPSの影響について検討した。 方法:Day0とDay7にOVA、AlumをBalb/cマウスに腹腔内投与して感作を成立させ、Day14に血清を採取してELISA法にてOVA特異的抗体価を測定した。Day21から28まで、OVAおよびLPSの点鼻を施行した。最終点鼻直後より5分間くしゃみの回数を測定し、鼻粘膜組織を採取して組織学的検討を行なった。鼻粘膜におけるTh2型のサイトカインの発現について、免疫沈降-western blot法にて検討した。結果:くしゃみの回数は、OVA単独点鼻群と比較して、OVAとLPS点鼻群において有意な増加を認めた。鼻粘膜組織では、OVA単独点鼻群において好酸球浸潤を認めたが、OVAとLPS点鼻群では好酸球浸潤がより顕著となった。鼻粘膜のTh2型サイトカイン発現の検討では、IL-5, IL-10, IL-13いずれもOVA単独点鼻群で発現を認めたが、OVAとLPS点鼻群ではOVA単独点鼻群と比較してIL-5の発現の増強を認めた。結論:上記の結果から、実効相においてLPSが肥満細胞のTLR4を介しIL-5発現を誘導することによりアレルギー性炎症の増悪因子として作用することが示唆された。さらに、肥満細胞を欠損したWBB6F_1W/Wvマウスを用いて検討したところ、野生型マウスではOVA/LPSの点鼻による好酸球浸潤の増加およびIL-5発現の増強が確認されたが、肥満細胞欠損マウスではOVA単独群とOVAとLPS点鼻群との間で有意な差を認めなかった.肥満細胞欠損マウスの鼻粘膜のTh2型サイトカイン発現の検討では、IL-5, IL-10, IL-13いずれもOVA単独点鼻群で発現が確認されたが、OVAとLPS点鼻群ではOVA単独点鼻群と比較してIL-5の発現の増強は認められなかった。TLR4のノックアウトマウスで現在検討中である。さらに、マウス骨髄由来肥満細胞(BMMCs)を用いてin vitroでLPS刺激を行い、サイトカイン産生および細胞内シグナル伝達機構について検討した。IgEの架橋により刺激した場合と同様に、LPS刺激で容量依存的(10~1000ng/ml)にIL-5, IL-10, IL-13の有意なサイトカイン産生を認めた。LPS刺激によるMAP kinaseについては、p38、ERK、JNKの活性化を確認した.LPS刺激で誘導されたBMMCsのIL-5産生は、p38阻害剤の添加により有意に抑制された.一方、IL-10およびIL-13産生はJNK, p38の特異的な阻害剤により有意に抑制された。また、LPSあるいはIgEを介したcross-linkingによりBMMCsを刺激したところ、GATA3遺伝子発現の増強が確認された。
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