2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791217
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
西村 忠己 Nara Medical University, 医学部, 助教 (60364072)
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Keywords | 超音波 / 骨導 / 補聴器 / 最重度難聴者 |
Research Abstract |
骨導超音波を用いた補聴器を作成する場合、最も有力な方法は伝達したい語音波形を用いて骨導超音波を変調することである。その方法でどの程度語音情報が骨導超音波で伝達可能か検討行い健聴者ではほぼ弁別可能であることが判った。また骨導超音波の音圧の変化と正答率の関係についても検討してみると可聴音と比べてかなり低い15dBSL程度で明瞭度の上昇でほぼ飽和しており、ダイナミックレンジが狭いことがわかった。この点については脳磁図を用い骨導超音波の音圧と脳の反応を測定し、骨導超音波刺激に対する脳磁界反応のダイナミックレンジが狭いことが客観的にも評価可能であった。さらに骨導超音波の周波数の弁別能力について脳磁図を用いて検討すると、周波数を10%変化させることでミスマッチフィールドが測定可能であった。この結果は可聴音と比較すると弁別能力が劣っているものの骨導超音波でも周波数の弁別が可能であることを示していると思われる。以上のことから骨導超音波を用いた補聴システムについては、語音を用いて変調するタイプの補聴器あるいは周波数変調を用いて語音情報を超音波の周波数帯域へと変調させるタイプの補聴器の開発の可能性が示された。脳磁図の結果を考慮すると、前者のタイプの補聴システムの方が有用であることが示唆されるが、今後両者システムを並存させることでより効果的な補聴システムの作製が可能であるかを検討していく必要がある。また聴覚心理実験及び脳磁図の結果から骨導超音波にダイナミックレンジは狭いことがわかる。この狭いダイナミックレンジに対応するためには、ノンリニア増幅システムを組み込んだ伝達システムの開発の重要性が示された。
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