2008 Fiscal Year Annual Research Report
内耳炎症メカニズムの解明とインターロイキン6阻害による難聴治療に関する基礎的検討
Project/Area Number |
20791226
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
若林 健一郎 Keio University, 医学部, 研究員(非常勤) (40348743)
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Keywords | 難聴治療 / 炎症 / インターロイキン6 / マクロファージ / 臨床応用 |
Research Abstract |
難聴治療に応用するため、音響外傷モデルマウスに対してインターロイキン6阻害剤を投与し、その効果を機能的、組織学的に解析した。 昨年度までにABR(脳波を用いた他覚的聴力検査)にて薬剤投与群では聴力の改善が示唆されていたが、個体数を増やし、検討したところ統計学的に有意差を確認できた。また、内耳への薬剤の到達(drug delivery)を免疫染色を用いて確認した。これらの結果より、薬剤が内耳に作用し、聴力が改善した可能性が示唆されたため、内耳の組織学的変化を検討した。その結果、内耳を構成するコルチ器(音の振動を神経の電気刺激に変換する)、外側壁(内耳の恒常性の維持に関与)、らせん神経節(コルチ器に接続され、中枢へ神経刺激を伝達)のうち、らせん神経節に著名な変化を確認した。音響外傷により変性したらせん神経節細胞が薬剤投与群では有意に保護され、細胞数が保たれていた。このことからインターロイキン6阻害剤はらせん神経節細胞に主として作用しているものと考えられた。 インターロイキン6とマクロファージの活性化がこれまでに報告されており、今回の機能的、組織学的変化についてマクロファージの関与を調査する予定である。 インターロイキン6阻害剤はすでにヒト化抗体が関節リウマチに臨床応用されており、将来的には難聴治療へ応用が期待される。
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