2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791232
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
伊田 みちる Chubu University, 生命健康科学研究所, 助教 (80393148)
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Keywords | 内耳 / メラノサイト / 難聴 / c-kit / Wv / 色素異常 |
Research Abstract |
本研究の目的は、内耳メラノサイトの聴力制御機構を明らかにすることである。本年度は、メラノサイト分化制御遺伝子であるc-kitおよびRetに着目し、(1)内耳メラノサイト幹細胞の探索、(2)内耳メラノサイト機能不全による難聴の機能回復、についての解析を行った。 (1) 内耳メラノサイト幹細胞の探索 毛包メラノサイトと同様に、内耳メラノサイトにおいてc-kit機能阻害抗体を投与すると内耳メラノサイトが死滅し、幹細胞だけが生き残ることで、一過性難聴モデルマウスの作成およびメラノサイト幹細胞の存在の有無を明らかにすることができるのではないかと考えた。成獣マウスへの皮下注射では難聴を誘導できず、妊娠マウスへの腹腔投与では仔がうまく生育しなかった。そこで、マウス蝸牛に直接c-kit抗体を作用させることを試み、内耳形成時期である生後0日の蝸牛原基に直接投与したが、内耳へ到達させることができなかった。京都大学との共同研究により、成獣マウスの蝸牛内への外科的直接投与を試みたが技術的にかなり難しく、c-kit抗体の直接投与による難聴モデルの作成および幹細胞の同定には至っていない。 (2) 内耳メラノサイト機能不全による難聴の機能回復 c-kit突然変異体であるWv/Wvマウスは色素異常と難聴を発症する。メラニン・メラノサイトを強く発現するRet-トランスジェニックマウス(Tg)を掛け合わせ、メラノサイトの機能回復を試みた。聴性脳幹反応(ABR)を測定したところ、Wv/Wv/304Ret-TgはWv/Wvと同程度の聴力を示し、Wv/Wvの聴力は回復しなかった。組織学的にも、HE染色による内耳メラノサイト(中間細胞)の存在は認められず、中間細胞マーカーであるKir4.1の免疫組織染色でも確認されたことから、RetはWv/Wvの難聴を回復できないことが明らかとなった。
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