2009 Fiscal Year Annual Research Report
発見・診断が遅れた先天性難聴児の認知言語機能と病態生理
Project/Area Number |
20791240
|
Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
新正 由紀子 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 政策医療企画研究部門医療経営情報研究室, 研究員 (80466242)
|
Keywords | 小児 / 難聴 / 平衡機能 / 運動発達 / 低出生体重児 / 小耳症 |
Research Abstract |
1. 先天性難聴児の平衡生理機能について、調査をおこなった。先天性の中等度の感音難聴児においては、重度の感音難聴児と比べ、平衡機能障害を合併する例は少ないことがわかった。一方、先天性の重度の盲聾児においては、先天性重度感音難聴児や先天性重度視覚障害児以上に、平衡機能の低下および運動発達の著しい遅滞がみられることが判明し、その対処法を検討する重要性があらためて認識された。 2. 幼小児における難聴のリスクファクターとして、低出生体重、未熟児があることは以前よりよく知られているが、新生児医療が進歩した現在でもリスクとなるのか知りたいと考え、低出生体重児における聴力像を調査した。その結果、高度難聴を認めた例、中等度の難聴を認めた例、成長に従い聴力検査結果が改善した例、逆に難聴が悪化する例と、症例によって様々な結果を示した。低出生体重児には、重篤な他疾患を合併する例が多数あり、その影響が考えられた。低出生体重児においては、満期産児以上に、定期的な聴力の評価の継続、個々の症例に合わせたコミュニケーション手段の選択など、適切な対処が必要であると考えられた。 3. 中等度難聴の原因の一つである小耳症の、外耳道形成術後の感染について調査を行った。多くの形成外科においては、現在でも術後感染を理由に外耳道形成術を勧めていないが、今回の調査の結果、一過性の感染は約半数に存在したものの、長期の感染例は認められなかった。術式の選択および術後処置を注意深く行えば、術後感染のコントロールは十分可能であると考えられ、小耳症の聴力改善のためには、外耳道形成術も当然視野に入れるべきであると考えられた。
|