2009 Fiscal Year Annual Research Report
チャネルロドプシン-2遺伝子を用いた神経細胞保護に関する研究
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20791241
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
砂金 ひとみ Tohoku University, 国際高等研究教育機構, 技術補佐員 (30400451)
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Keywords | 神経科学 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
網膜色素変性症、加齢黄斑変性症では、視細胞の変性に伴い、網膜神経節細胞が減少することが知られている。一方、人工網膜チップによる網膜の電気刺激によって、視細胞の変性に伴う神経節細胞死を保護できることが報告されている。昨年度の研究で、緑藻類クラミドモナスより見出されたチャネルロドプシン-2(ChR2)遺伝子を網膜神経節細胞に導入することによって、網膜神経節細胞の生存率を高めることが明らかになっている。本年度は、その保護のメカニズムを調べる目的で、網膜神経細胞の生存、細胞死に関与するタンパク質の発現変化を免疫組織化学により調べた。 生後6ヶ月齢の遺伝盲(RCS)ラットの眼内にChR2を含むアデノ随伴ウイルスベクターを注入することによってChR2遺伝子を導入した。遺伝子導入後視覚誘発電位を測定することによって視機能の回復を経時的に確認した。遺伝子導入後、20ヶ月後に眼球を摘出し、凍結切片を作製し、Glutamine synthetase(GS)、glial fibrillary acidic protein(GFAP)、NF-kB(p65)の局在を調べた結果、Venus蛍光タンパク質をのみを導入した網膜、および無処置の網膜では、GFAPおよびGSの免疫反応性は網膜全層に強く認められ、p65の発現は神経節細胞層にわずかに観察された。一方、ChR2を導入した網膜では、GFAPおよびGSの免疫反応性は内境界膜に限局し、p65は神経節細胞層に強く発現が認められた。 GFAPおよびGSはストレス環境下で発現が亢進する事が知られており、RCSラット網膜では、視細胞の変性に伴い、増強されたものと思われる。p65の発現は神経細胞の生存維持に重要な役割を持つことが知られており、ChR2を導入した網膜での発現亢進は、神経節細胞が光受容細胞として機能することによって、生存維持効果がもたらされた結果と思われた。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Visual Properties of Transgenic Rats Harboring the Channelrhodopsin-2 Gene regulated by the Thy-1.2 Promoter2009
Author(s)
Tomita H, Sugano E, Fukazawa Y, Isago H, Sugiyama Y, Hiroi T, Ishizuka T, Mushiake H, Kato M, Hirabayashi M, Shigemoto R, Yawo H, Tamai M.
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Journal Title
PLoS ONE 4(11)
Pages: e7679
Peer Reviewed
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